E-I-7
心内膜床欠損症術後に生じた左室流出路狭窄に対するmodified Konno手術
岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科1),岡山大学大学院医歯学総合研究科麻酔科2),岡山大学大学院医歯学総合研究科小児科3)
神吉和重1),河田政明1),吉積 功1),伊藤篤志1),石野幸三1),竹内 護2),多賀直行2),片岡功一3),大月審一3),佐野俊二1)

【はじめに】心内膜床欠損症に合併する左室流出路狭窄は,不完全型とRastelli A型に多く,心内修復術の適応や術後の左室流出路狭窄の進行に注意しなければならない.今回われわれは,同症の心内修復術後に左室流出路狭窄を合併した 3 症例に対し,modified-Konno手術(以下m-K手術)を施行し,良好な成績を得た.【症例】症例 1 は,3 歳,症例 2 は 6 歳,症例 3 は17歳,症例 2 が完全型で症例 1,3 は不完全型であった.症例 1 では初回手術14カ月後に,症例 3 では 9 年後(他施設)に,左室流出路狭窄を合併し,上行大動脈アプローチによる大動脈弁下組織,心筋切除術を施行した.さらにそれぞれ14カ月・6 年後に,症例 2 では初回術56カ月後に,m-K手術を行った.m-K術前の左室大動脈圧較差は60・56・75mmHgであった.【手術と結果】上行大動脈横切開,右室流出路縦切開にて視野を展開し,肥厚した左室流出路心室中隔および大動脈弁下組織を切除し,欠損部をパッチ閉鎖した(大動脈遮断時間平均61分,体外循環時間平均95分).術後経過はいずれも良好で,周術期に刺激伝導障害を含む不整脈を認めず,大動脈弁および房室弁逆流の悪化や,左室機能低下を認めなかった.心エコー上圧較差はそれぞれ23・24・27mmHgに改善し,34・24・1 カ月の経過観察中,左室流出路狭窄の再発は見られない.【考察と結語】心内膜床欠損症では,scoopingした心室中隔に固定された共通前尖のために,左室流出路狭窄を合併しやすい.弁下組織および流出路に突出した心筋切除のみでは,十分な狭窄解除が得られない場合もあり,特有の刺激伝導系の走行を考慮した積極的な流出路拡大術であるmodified-Konno手術は有効であった.

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