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KI-E-4 |
学校心臓検診で診断された心筋症の検討 |
大阪市立総合医療センター小児循環器内科
江原英治,村上洋介,兪 幸秀,杉本久和 |
【背景】心筋症は学童期の突然死の原因となる重要な疾患だが,その頻度は少ない.また,経過とともに顕性化し進行するため,すべての患者を漏れなく,しかも早期に発見することは困難である.【目的】学校心臓検診における心筋症の診断状況について調査し,その有用性を検討すること.【方法】平成 6 年度から14年度の 9 年間に,大阪市の学校心臓検診を受診した小中学生は延べ368,861例であった.新 1 年生は 1 次検診で,調査票と省略 4 誘導心電図,2 次検診では12誘導心電図と 2 点心音図を実施し,3 次検診で必要に応じて負荷心電図や心エコーを行っている.要管理者は次年度より 2 次検診より参加させている.期間中,当科での 3 次検診を受診した者は3,839例,そのうち 2 次検診の心電図所見より,心筋疾患を疑い心エコーを実施した970例を対象とした.【結果】(1)心エコーを実施した970例で,心筋疾患を疑った心電図所見の内訳はLVH(R波・S波より)224例,異常Q波182例,ST-T変化149例,LAD 215例,WPW症候群219例であった(重複含む).(2)新たに発見された心筋症は 4 例であった.症例 1:小 1 女児 HCM.心電図所見は異常Q波,ST低下,陰性T(2 aVF V6).症例 2:小 6 男児 HCM.心電図所見はLAD,r/Sパターン(V1-V6).小 1 よりLADで経過観察のみ.症例 3:中 2 男児 DCM.心電図所見はST低下(2 aVF)陰性T(1 2 aVF V5 V6).中 1 の心電図はT平低.症例 4:小 2 男児 左室心筋緻密化障害.心電図所見はLVH,ST低下.小 1 ではLVH疑い.症例 2~4 はいずれも心電図所見で経過観察されていたが,心エコーは心筋症診断時が初回であった.(3)WPW症候群では心筋症の症例はなかった.ST-T変化を除き,LVH,異常Q波,LAD単独では心筋症の症例はなかった.【まとめ】(1)心筋症の症例ではST-T変化を含む複数の心電図異常を示していた.(2)新たに発見された心筋症の 4 例中 3 例は新 1 年生以外の学年であり,検診での経過観察は心筋症発見に重要である. |
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