P-I-A-3
当院における超音波胎児心臓病診断と出生後診断の一致率の検討
国立成育医療センター循環器科
金子正英,平田陽一郎,豊田彰史,三平 元,山口佳世,磯田貴義,百々秀心,石澤 瞭

【目的】胎児心臓超音波検査による診断と出生後診断の一致率を検討することにより,胎児超音波検査の長所,短所を知り,診断の精度を上げる.【方法】国立成育医療センターにて,2002年 5 月より2003年12月までに,当院にて胎児超音波検査を施行し,当院にてフォローしている児30例を対象とし,後方視的に胎児診断と出生後診断を比較検討する.【結果】30例中胎児診断にて不整脈を指摘されたもの 5 例,心奇形を指摘されたものが25例であった.一致率は全体では25/30(83%)であった.不整脈では 5/5(100%)の一致率で,うち 3 例が期外収縮,1 例が房室ブロック,1 例が上室性頻拍でありかつ形態的にEbstein奇形を認めた.心奇形では20/25(80%)の一致率で,診断が異なったのは,心室中隔欠損 3 例,両大血管右室起始・肺動脈閉鎖 1 例,総動脈管症 1 例であった.主な疾患別では,心室中隔欠損 5/8(63%),heterotaxia 4/4(100%),純型肺動脈狭窄 3/3(100%)であった.ほか診断が一致した疾患は,左心低形成,Ebstein奇形,ファロー四徴症などであった.【考察】不整脈で指摘された症例は少数であったが,リズム,心房・心室の同期性を評価することで,完全に出生前後で一致した診断をすることができた.構造異常では,全身評価することのできる胎児診断では,heterotaxiaの診断は比較的容易であったが,体内では短絡血流のわかりにくい小さな心室中隔欠損では形態評価には限界があった.また,大動脈縮窄の診断では,出生前後で血流量が変化するため,診断が難しい症例が存在した.今後症例を重ね,各疾患における胎児診断のポイントを検討していきたい.

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