P-I-A-5
一過性の胎児水腫を認めた3C症候群の 1 例
聖隷浜松病院小児循環器科1),聖隷浜松病院心臓血管外科2)
岡西 徹1),水上愛弓1),武田 紹1),小出昌秋2)

【はじめに】3C症候群は染色体異常がなく(1)PDA以外の先天性心奇形,(2)Dandy-Walker complex,(3)口蓋裂,colobomaまたは頭顔面部外表奇形を伴う常染色体劣性遺伝の疾患であり,1987年,Ritscher等によって初めて報告された疾患である.われわれは胎児期より経過観察した3C症候群の 1 例を経験したので報告する.【症例】母体は32歳で 2 経妊 2 経産,家族歴は特記すべきことなし.在胎26週に当院に紹介になった.羊水による染色体検査は正常女性核型であり,Dandy-Walker complex,DORV,PA,MAPCA,羊水過多,単一臍帯動脈を認めた.胎児水腫(皮下浮腫・胸腹水)は在胎28週から認め,心源性は否定的であり徐々に改善し在胎36週には自然に消失した.在胎37週 3 日,2,398g,自然分娩にて出生した.出生後にTOF,PA,MAPCA,Dandy-Walker complex,網脈絡膜欠損,口蓋裂,小顎症,翼状頸,外反肘を認めた.出生後は哺乳不良が見られたが,心不全,側脳室拡大を認めず状態は安定している.【考察】3C症候群は調べた限り30例の報告があるのみで正確な発生率は不明である.(1)にはTOFは10%に認められた.(2)には水頭症の記載が多いが今回は認められなかった.(3)にはさまざまな所見が含まれているが今回認められた所見では網脈絡膜欠損が3C症候群の21%に,口蓋裂が25%に認められ,診断確定に至った.40%以上の症例に認められる耳介低位,眼間解離,眼裂斜下は認められなかった.胎児水腫の記載はなく本疾患との関連は不明である.【結語】26週より経過観察した一過性の胎児水腫を認めた3C症候群の 1 例を経験した.本邦 2 例目の報告であり稀少な症例と思われた.

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