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正期産児の動脈管開存症に対するインドメサシン投与の有用性
東京医科大学小児科1),日赤医療センター新生児未熟児科2),日赤医療センター小児科3),東京女子医科大学循環器小児科4)
高見 剛1),与田仁志2),土屋恵司3),山村英司4),中西敏雄4),中澤 誠4)

【背景】未熟児動脈管開存症(PDA)に対するインドメサシンによる内科的治療法は確立されているが,正期産児に併発したPDAに対する治療方針および治療方法には一定の見解は得られておらず,インドメサシンの有用性についても不明である.【目的】正期産児PDAに対する静注用インドメサシンの臨床的有用性を後方視的に検討すること.【対象と方法】1995~2003年に入院となった新生児21例.全例,出生体重2,500g以上,在胎37週以上の正期産新生児(21trisomy 4 例,その他の先天性心疾患合併 3 例,奇形症候群 4 例を含む)で症候性PDAを認めた.心エコーにて血管径,フローパターンを評価した後,インドメサシンを0.2~0.25mg/kg/doseで12~24時間間隔で経静脈的に投与した.そのうち 8 例はメフェナム酸 2mg/kg/doseを12時間間隔で胃内先行投与した.血圧,血液検査,尿量を経時的に計測した.【結果】全例,重篤な副作用は認められなかった.21例中 7 例でPDAの完全閉鎖が確認された.6 カ月後に再開通を認め結紮術を施行した 1 例を含む 5 例が急性期の手術を回避でき臨床的に有用であった.非閉鎖 9 例は全例結紮術を施行した.臨床的に有用であった12例(有効群)と有用性が認められなかった 9 例(無効群)間で,在胎週数,出生体重,APGAR,治療開始日齢,動脈管径に有意差は認められなかった.また,PDAのフローパターン評価をPH,pulsatile,closingに分けてMann-Whitney's U testで検討を行ったが有意差は認められなかった.【考察】正期産児に併発したPDAにも未熟児PDAに対するインドメサシン療法と同様の評価,管理,治療が行えた.今回の検討では半数以上で有効性が認められ,PDA結紮術前に試みるオプションとして有用な内科的治療法と考えられたが,今後は症例数を増やし検討していく必要があると思われた.

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