P-I-A-11
新生児の経皮的中心静脈留置カテーテル抜去後に,留置血管内に血栓を確認した 1 例
東京慈恵会医科大学小児科
河内貞貴,齋藤亮太,浦島 崇,寺野和宏,藤原優子,衛藤義勝

【背景】新生児領域では,輸液や薬剤投与の目的のために経皮的中心静脈留置カテーテルが頻回に使用されている.しかしながら,長期にわたるカテーテル留置のため,時としてカテーテル抜去困難を経験することがある.われわれは,カテーテル抜去困難に対して,すでに報告されている方法に従いガイドワイヤ再挿入によるカテーテル抜去を施行した.しかしその抜去後に,血管内の血栓を認めた症例を経験したので報告する.【症例】在胎32週 5 日,出生体重963gにて出生の女児.出生直後から,左下肢より経皮的中心静脈留置カテーテル(PI-catheter kitダブルルーメン)を留置,その先端は下大静脈内横隔膜下であった.その後,明らかなルートトラブルもなく児の経過良好にて,日齢42(1,970g)にカテーテルの抜去を試みた.カテーテルの先端が外腸骨静脈内と思われる場所にてそれ以上の抜去が困難となったため,ルート内を血栓溶解薬で満たし,12時間後にカテーテル留置の際に使用するガイドワイヤを再挿入したところ抜去が可能となった.抜去後の超音波検査にて血栓と考えられるエコー像を認めた.左下肢からの血管造影を施行したところ,左大腿静脈内の血栓を認めた.【結論】新生児の経皮的中心静脈留置カテーテル抜去困難において,留置の際に使用したガイドワイヤを再挿入することで,経皮的中心静脈留置カテーテルを抜去できることが報告されているが,本症例のように血栓を発生している可能性があり,抜去後に肺塞栓を誘発する危険性などから,その実施は極めて慎重に考慮されなければならない.

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