P-I-A-12
NICUでの新生児期先天性心疾患死亡例の検討
倉敷中央病院小児科
田原昌博,横尾憲孝,美馬隆宏,脇 研自,新垣義夫,馬場 清

【目的】最近10年間の新生児期先天性の死亡例について検討し,NICUでの治療の問題点を明らかにすること.【方法】1994年から2003年の10年間に倉敷中央病院NICUに入院した先天性心疾患児375例を対象に,前半の 5 年間と後半の 5 年間に分けて後方視的に比較検討した.【結果】先天性心疾患の術前死亡例は17例(4.53%)[死亡率:前期6.02%(10/160),後期3.34%(7/209)]であった.死因は心臓由来のもの前期 9 例,後期 1 例,心臓以外由来のもの前期 1 例,後期 6 例であった.10年間でNICUに入院した低出生体重児71例のうち心臓手術例は18例であり,死亡例は18trisomyの 1 例であった.開心術を行った最低体重は1,182gで,CoA VSDに対しtotal correctionを行った.術前に非侵襲的検査(心エコー,CTなど)のみで手術している例は,前期6.58%(5/76),後期40.57%(43/106)であった.三角搬送を行ったのは前期 0 例,後期 3 例(TAPVC 3 例)でいずれも生存退院している.一方,1998年からHLHSに対しRV-PAバイパスによるNorwood変法を行っており,HLHSの21例に関しては,1994年から1997年の 4 年間と1998年から2003年までの 6 年間とで術後30日以内の死亡例も含めて検討した.死亡率は前期100.0%(9/9),後期16.7%(2/12)であった.【まとめ】房室弁逆流が重度な例や,合併奇形・染色体異常を有している例での死亡が多かった.近年の死亡率の改善には,新生児管理の向上や非侵襲的検査のみでの手術症例の増加,外科(他施設)との連携の円滑化,外科的技術の向上などが役立っていると考えた.

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