P-I-A-13
低出生体重児における上大静脈血流量に与える,各種心機能の影響―心エコー法による分析―
和歌山県立医科大学小児科1),紀南綜合病院小児科2)
西原正泰1),末永智浩1),南 孝臣1),奥谷貴弘1),武内 崇1),鈴木啓之1),上村 茂1),吉川徳茂1),渋田昌一2)

【目的】日齢 0 における上大静脈血流量の低下は,未熟児の遅発性脳室周囲,脳室内出血のリスク因子として報告されている.私たちは,心臓超音波検査法で上大静脈血流量と各種心機能を経時的に評価し,比較検討した.【方法】対象は2003年11月から2004年 1 月の間に出生した男児 2 例,女児 5 例の計 7 症例.在胎26週 3 日~35週 4 日(中央値:28週 6 日),出生体重929~2,061g(中央値:1,084g).全例とも帝王切開.生後 5,12,24,48,72時間に心臓超音波検査でSVC flowと,心収縮能の指標としてmVcfc,EF,前負荷の指標としてLVDd,後負荷の指標としてESWS,体血管抵抗の指標としてupper body vascular resistance(UBVR),動脈管短絡量の指標として左肺動脈拡張期平均血流を測定した.同時に,心拍数,平均血圧を記録した.【成績】生後 5 時間のSVC flowは,25.7~148ml/kg/min(中央値:88.7ml/kg/min)だった.1 例で生後12時間に上衣下嚢胞を認めたが,生後 5 時間のSVC flowは,34.2ml/kg/minだった.SVC flowは,UBVRとの間に負の,心拍数との間に正の有意な相関関係がそれぞれみられた(r = 0.79,0.67:p < 0.01).LVDd,左肺動脈拡張期平均血流との間で有意な相関関係はなかったが,相関係数は0.30以上だった(r = 0.31,0.33).また,LVDd,左肺動脈拡張期平均血流,平均血圧は,生後 5 時間より72時間のほうが有意に増加していた(p < 0.01).【結論】上大静脈血流量は,体血管抵抗と負の,心拍数と正の有意な相関関係にあった.出生後,前負荷は増大し動脈管短絡量は減少するが,これらが上大静脈血流量に影響する可能性があった.心収縮能,後負荷の指標とは相関関係がなかった.

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