P-I-B-2
小児期にぺースメーカ植え込み術を施行し,フォロー中にペースメーカトラブルを来し緊急対応を要した症例の検討
国立循環器病センター小児科1),国立循環器病センター心臓血管外科2)
鶏内伸二1),黒嵜健一1),鍵崎康治2),八木原俊克2),越後茂之1)

【背景】近年ペースメーカ(PM)の品質は向上し,ペースメーカトラブル(PMT)を来す症例は減少したが,小児は疾患の多様性,成長や活動性に伴い,依然緊急対応を要することがある.しかし小児でのPMTや,対処法に関する報告は少ない.今回当センターでフォロー中のPM植え込み(PMI)症例でPMTにより,緊急対応を要した症例を後方視的に検討したので報告する.【症例】対象は先天性もしくは術後のSSS,CAVBに対しPMIを施行し,2000年11月~2003年11月にPMTのため緊急対応を要した 8 例.内訳はペーシング閾値上昇 3 例,リード固定糸の脱落 1 例,リード断線 1 例,原因不明のバックアップモード(BUM)変更 1 例,PMチェック中の電池消耗(表示機能不全)1 例,PMポケット感染 1 例.閾値上昇症例で対応を要すまでの期間は 1~16カ月で,対処はBUMへ変更し,待機的にジェネレータ(Ge)交換を施行したもの 1 例,緊急でリード交換,もしくはGe交換を施行したもの 2 例であった.固定糸脱落とリード断線症例はペーシング不全で発症し,発症までの期間はそれぞれ60カ月,36カ月で,断線の原因は体動に伴う胸骨とリード間の摩擦であった.外来で原因不明のBUMへの変更が確認された症例は,電池残量十分でモード修正のみ行い,その後のフォローで再発は認めない.PMチェック中に電池消耗を来した症例は電池残量good表示で,心室/心房閾値測定後exhausted表示に変わり,突然BUMへ変更しモード修正不能であった.緊急でGe交換を施行した.PMポケット感染の起因菌は黄色ブドウ球菌で,最終的にリード,Ge交換,Ge挿入部位変更(胸部から腹部)を要した.対処法として,モード調節のみで待機的治療が可能であったもの 2 例(25%),緊急でリード,Ge交換等の外科的介入を要したもの 6 名(75%)であった.

閉じる