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基礎心疾患を認めない乳児期発症の心房細動および心房頻拍の 2 症例
帝京大学医学部小児科
豊田彰史,舟木尚美,萩原教文,脇田 傑,柳川幸重

【はじめに】基礎心疾患を認めない乳児期発症の心房細動および心房頻拍は,まれな疾患である.今回われわれは,基礎心疾患を認めず心房細動を発症した 3 カ月女児と,心房頻拍を発症した 1 カ月女児を経験したので報告する.【症例 1】3 カ月女児.胎児期より不整脈を指摘され,出生時に上室性期外収縮が認められるも,生後経時的に減少・消失したため,経過観察とされていた.生後 3 カ月時全身状態不良にて近医受診.心不全および持続性心房細動の診断にて当院紹介入院となる.入院後,持続性心房細動に対しジギタリス・インデラルによる心拍数コントロールを図りつつ,利尿剤を併用したことで心不全は改善した.心房細動は加療開始後も約 2 週間持続したが,その後は洞調律と発作性心房細動を繰り返しながら徐々に正常調律となった.なお,心臓超音波検査上明らかな解剖学的異常は認められなかった.現在 1 歳 8 カ月正常児.その後不整脈の再発は認められず,内服薬なしで外来経過観察中である.【症例 2】1 カ月女児.在胎・分娩・出生歴に特記事項なし.生後 1 カ月時,頻拍を認め,発作性上室性頻拍症の診断にて近医入院.次第に心不全症状を呈したため,当院紹介入院となる.入院後,心房頻拍と確定診断.ジギタリスによる心拍数コントロールにて心不全は改善した.心房頻拍は約 2 週間持続したが,その後は洞調律と発作性心房頻拍を繰り返しながら徐々に正常調律となった.心臓超音波検査上明らかな解剖学的異常は認められなかった.現在生後10カ月正常児.24時間心電図で持続時間の短い発作性心房頻拍を認めるが心不全には至らず,ジギタリス内服にて外来経過観察中である.【まとめ】基礎心疾患を認めない乳児期発症の心房細動および心房頻拍の 2 症例を経験した.いずれも頻拍症発症時心不全を認めたが,ジギタリス等による心拍数コントロールにて心不全は改善し,頻拍症も改善した.文献的考察を加え報告する.

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