P-I-B-6
Chaotic atrial rhythmを呈したCostello症候群の 1 例
北里大学医学部小児科
木村純人,広田浜夫,中畑弥生,堀口泰典,平石 聰,武田信裕,小川夏子,藤野宣之

Costello症候群は,出生時に始まる成長,哺乳摂食障害に加え,特異的顔貌,皮膚の異常,心奇形,不整脈などを伴うまれな疾患である.今回chaotic atrial rhythmを呈したCostello症候群の 1 例を経験し,その治療と,経過について報告する.【症例】在胎32週時に胎児不整脈を指摘される.在胎39週,出生児体重3,995gにて出生.生下時から,哺乳不良,全身の皮膚のたるみ,特異的顔貌を認め,またECGモニタにより心房粗動を含めた上室性不整脈を認め,Costello症候群と診断した.胸部X線ではCTR = 57%.心エコー上では,心奇形,心室の肥厚所見はなく,心機能も良好であった.心拍数は200~180/分前後で,多源性p波,P-P間隔,R-R間隔の不整などが確認され,chaotic atrial rhythmと診断した.上室性頻拍に対して日齢 8 よりジゴシンの投与を開始,加えて日齢48からソタロール(1mg/kg/day)の投与を行ったが効果はなく,最終的に,日齢115からジゴシン(0.008mg/kg/day),ソタロール(2mg/kg/day),プロプラノロール(3mg/kg/day)の 3 剤併用により,心室心拍は130~120台/分にコントロールが可能となった.現在 1 歳 2 カ月であるが,体重6.45kg,身長67.2cmと著明な体重増加不良を認め,摂食障害により栄養はtube feedingで行っており,また精神発達遅延を認めてる.心室心拍は 3 剤併用により毎分120~130台に安定しており,Holter心電図でも心房粗動は認めていない.【結語】chaotic atrial rhythmを呈したCostello症候群の 1 例を経験した.chaotic atrial rhythmに対しての抗不整脈剤の使い方には一定見解はなく,今回ジゴシン,ソタロール,プロプラノロールの 3 剤併用により心室心拍のコントロールが可能となった.今後も,多種の合併症を発症する可能性があり,不整脈を含め全身の注意深い観察が必要と考えられる.

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