P-I-B-13
Fontan到達におけるカテーテルインターベンションの有用性と重要性の検討
埼玉医科大学小児心臓科1),埼玉医科大学心臓血管外科2)
小林俊樹1),先崎秀明1),松永 保1),竹田津未生1),増谷 聡1),石戸博隆1),朝野晴彦2),許 俊鋭2)

【背景】Fontan candidate(FC)のFontan到達率は向上してきているが,適時適切な経過観察とインターベンション(CI)が重要となる.【目的】当院ではFCに対して,両方向性Glenn手術からFontan手術へのステージ手術を行っているが,FCに対して行われたCIについて検討を行い,有効性と重要性について検討する.【対象】1999年以降の 5 年間に治療されたFC計12例.純系肺動脈閉鎖 2 例,Rt Isomerism単心室 3 例,DILV 3 例,DORV 2 例,Lt Isomerism単心室 1 例,三尖弁閉鎖 1 例であった.【結果】7 例はすでにFontanに到達(27.5±11.7カ月),2 例はFontan予定待機中,3 例死亡であった.死亡原因は感染症,心不全,術後心不全各 1 例であった.Fontan手術直前のAPCAに対するcoil閉塞術は 6 例,PFO狭小化によるBASが 3 例 3 回であった.末梢性肺動脈狭窄(PPS)へのバルーン血管形成術(BA)は 5 例に対し 9 回行われた.ほぼ同症例でBTSの拡大が行われた.1 例ではstent留置が追加された.Glenn縫合部の狭窄拡大 2 例,CoA修復部残存狭窄拡大 1 例であった.ICに伴う合併症は大腿動脈の閉塞が 2 例で見られた.【考案】BASとACPCへのcoilは適応拡大のICとは異なるために検討から除外した.基礎疾患が肺血流過多型の症例は肺血管抵抗の管理が重要であり,CIはほとんど行われていなかった.肺血流減少型の症例では心機能を維持するために低酸素を防ぎ,バランスのとれた肺動脈血管床の発達を得るために,積極的にPPSとBTSに対してBAが行われていた.結果的にはPPSに対する拡大はたとえ再狭窄が起きても,血流増多により狭窄遠位側の肺血管が発達し有用と考えられた.少ない症例ながら動脈管組織が関係した肺動脈縮窄では,BAを行うことにより縮窄遠位側の血流を維持することが可能となり,左右肺動脈の離断を予防する可能性が示唆された.【結語】肺血流減少型基礎疾患を持つFCで肺動脈やBTSに狭窄を持つ症例では積極的にCIを行うことが重要と考えられた.

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