P-I-B-15
ガイドワイヤを目安にした血管穿刺の工夫
埼玉医科大学小児心臓科1),埼玉医科大学心臓血管外科2)
熊倉理恵1),岩本洋一1),石戸博隆1),竹田津未生1),増谷 聡1),松永 保1),先崎秀明1),小林俊樹1),朝野晴彦1),横手祐二2)

【はじめに】新生児,乳児の心臓カテーテル検査において,動脈の低形成や,穿刺に伴う動脈攣縮などにより,血管穿刺が困難を極めることを時に経験する.われわれは,動脈攣縮によると思われる穿刺困難例に対して,0.025 inchラジフォーカスをガイドにした穿刺を試み成功したので若干の考察を加え報告する.【症例】症例は,肺動脈閉鎖,心室中隔欠損,MAPCAの生後 1 カ月(体重 3kg)の女児である.手術方針決定のため,MAPCAの選択的造影を主な目的にカテーテル検査を施行したが,大腿動脈路確保が再三の試技にもかかわらず困難であった.そこで大腿静脈を確保し,カテーテルを心室中隔欠損孔を介して大動脈に進ませ,0.025inchラジフォーカスを対側の大腿動脈まで先進させた.この際,下行大動脈での動脈側枝にワイヤの先端をかけて,ガイドワイヤ先端小ループを作って進めた.これにより,動脈の実際の幅を同定でき,透視下に大腿動脈の中心を確認しながら成功裡に穿刺を行うことができた.【考察】心臓カテーテル検査の穿刺に際し血管確保が困難な場合,造影をバックグラウンドに穿刺を行う方法も有用であるが,この場合,穿刺に伴う皮膚のずれや,患者のほんの少しの体動などで不正確になることはよく経験する.これに対し,ガイドワイヤを透視下に確認した場合,リアルタイムでの場所を確認でき正確度が増す.さらに,穿刺針の径に対し,血管径が非常に小さい新生児,乳児においては,血管の中心を穿刺できない場合,その後のワイヤの挿入が困難なことが多いため,本症例のごとく,ガイドワイヤ先端に小ループを作り,大腿動脈の中心を同定することは極めて有用であると思われる.0.025inchラジフォーカスは適度な強度のため大腿動脈内で無理な力をかけずにループを形成することが可能で,新生児,乳児の心臓カテーテル検査穿刺に臨む際,一つの有用な方法として念頭に入れておくべきものであると思われた.

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