P-I-B-16
動脈管開存コイル閉鎖術後遠隔期におけるコイルの形態変化
札幌医科大学小児科1),NTT東日本札幌病院小児科2)
堀田智仙1),富田 英1),高室基樹1),布施茂登2)

【背景】動脈管開存(PDA)に留置されたコイルは短縮することが報告されているが,遠隔期までの形態変化についての報告はない.【目的】PDAコイル閉鎖術後 5 年以上経過したコイルの形態変化とその臨床的意義について検討する.【対象】1995年 3 月から1998年10月に当院にて閉鎖術を施行した47例のうち,5 年以上観察が可能であった14例.男児 3 例,女児11例.閉鎖術施行時の年齢は 1 歳 1 カ月~10歳 3 カ月(平均 4 歳 9 カ月).体重は9.5~27.5kg(平均15.9kg).観察期間は 5 年~7 年 4 カ月(平均 5 年 9 カ月).PDAの形態はKrichenkoらの分類でA型が10例,E型が 4 例.最小径は0.8~3.4mm(平均1.8mm).用いたコイルは0.038インチGianturcoまたはdetachableコイルで,コイルを 1 個留置したものが 9 例,複数留置したものが 5 例で,1 例でRashkind PDA occluderも併用した.【方法】PDAコイル閉鎖術直後,および 1 年後,3 年後,5 年以上経過した後の胸部単純X-pでのコイルの形態について,正面像および側面像での長径を計測し,両者の平均値を比較検討した.複数個のコイルを使用した場合は,全体を一塊として長径を計測した.【結果】全例完全閉鎖し,肺動脈狭窄,大動脈縮窄の合併はなかった.1 年後にコイルが短縮したものが14例中12例(86%)で変化率は平均 -12%.これらの 3 年,5 年後の変化率は平均 1~2%であった.遠隔期に明らかなコイルの伸展を認めたものが 2 例(14%)あり,両者ともPDA形態はE型で,コイル留置時にPDA内にコイルが完全なループを作らず一部伸展した形で留置されたものであった.【まとめ】留置されたコイルの短縮は,多くの場合 1 年以内に完成しその後の形態変化は乏しい.ただしコイル留置時の形態によっては遠隔期に伸展を認めるものがあり注意が必要である.

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