P-I-B-17
経カテーテルASD閉鎖術に向けたASD径計測用バルーンカテーテルの開発と臨床使用
埼玉医科大学小児心臓科1),ニプロ株式会社2)
小林俊樹1),宮川克也2),先崎秀明1),松永 保1),竹田津未生1),増谷 聡1),石戸博隆1),岩本洋一1)

【背景】世界の各国ではAmplatzer心房中隔欠損(ASD)閉鎖栓によるASD閉鎖はすでに確立された治療手段となっている.ASD周囲の解剖とともに,バルーンカテーテル(BC)によって計測されるASD径が適応決定の主要な因子となる.しかし現在ASDに対する計測用BCは 8~9Fのシースが必要とされる.【目的】Amplatzer ASD閉鎖栓が使用可能となるまで症例を待機させるか,手術による治療を選択するかの決定に際して,BCを用いて計測するASD径は重要な情報となる.このために 7Frのシースを用いて30~35mmまで 6Frシースを用いて25mm程度まで拡大計測が可能となるBCの開発を試みた.臨床使用に向けて改良を行っているために報告する.【方法】ニプロ株式会社製血管閉塞用BCをベースに,バルーン形状の変更を加えたプロトタイプにてモデル実験は終了した.バルーンの硬さと形状に関して改良を行い,実際の計測方法も含めて検討を行う.【結果】Amplatzer ASD閉鎖栓で実際に閉鎖を行う際にはある程度の圧をかけてASDの最大伸展径を計測する.しかし当BCの使用目的はあくまでも適応症例の選択にあるために,心臓カテーテル検査中に経胸壁エコーを併用しASD短絡が消失するか有意に減少した時点のBC径の計測を目標とした.【結語】Amplatzer ASD閉鎖栓による閉鎖可能適応症例は,治験時に比して飛躍的に広がっている.しかし大きなASDに対する閉鎖は手技的には難しく,仮に留置が可能であっても中期留置後合併症の報告も散見される.現在の時点では安全で良好な治療結果を得るためにも,過大なASDは手術のほうが望ましいと考えている.以前に行った他ASD閉鎖栓の治験経験より,心エコー計測径に比してBCによる計測径がかなり異なる症例が実際に経験されている.境界領域の症例に関しては当BCにて計測を行い,Amplatzer ASD閉鎖栓にての閉鎖が困難と推察される症例は早期の手術が至適と考えられる.

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