P-I-B-18
末梢性肺動脈狭窄に対するカテーテル治療における三次元CT画像情報の有用性
国立成育医療センター循環器科
磯田貴義,百々秀心,金子正英,平田陽一郎,三平 元,豊田彰史,山口佳世,石澤 瞭

【背景】末梢性肺動脈狭窄(PPS)に対するバルーン血管形成やステント留置などのカテーテル治療に際して,肺動脈末梢部のより詳細な解剖学的情報を得る必要が生じてきた.【目的】PPSの形態把握にX線CT三次元構築法(3DCT)が従来の方法に比して優れている点があるか,また付加的な情報をもたらす可能性があるかを評価する.【対象】PPSに対してカテーテル治療を施行する可能性のある患者11例(TOF/PA with VSD 5 例,VSD PAB後 3 例,他 3 例 年齢0.5~18.9歳).【方法】(1)3DCT(GE社Light Speed Ultra による撮像後,東陽メディック社Vitria2で再構成)(2)心エコー図検査(UCG)(3)心カテーテル造影検査(angio)(頭側35度左斜位35度で撮影)の各モダリティ間で以下の画像情報について,形態描出性の評価および計測値の比較検討を施行.a.主肺動脈径 b.左右肺動脈第一分枝部直前の径 c.狭窄部径 d.左右肺動脈分岐部─第一分枝部長 e.主肺動脈左右肺動脈分岐角.【結果】(1)形態の描出性:末梢血管径,狭窄部径,第一分枝長において3DCTおよびangioは同等の描出性を示すが,UCGでは特に高年齢群で描出が不良であった.3DCTでは金属異物の留置後に形態評価が困難であった.(2)計測値の比較:a.血管径はUCGで細めに評価されるが3DCTとangioでの相関は良好であった.b.左肺動脈第一分枝部長は3DCT─angio間でよい相関を示すが,右肺動脈はangioで有意に短く描出された.c.主肺動脈左右肺動脈分岐角は各モダリティで大きな差がみられ,一定の傾向を示さなかった.【考察】3DCTは放射線被曝,異物でのアーチファクトなどの問題があるものの,カテーテル治療に必要な詳細なPPSの解剖学的情報を得るのに優れている.特に末梢肺動脈の空間配置の予測が困難な複雑心奇形症例では,angioでの血管距離の過小評価を避けることができ,補完的な診断手段として有用であると考えられる.

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