P-I-B-19
Blalock-Park術後の遺残大動脈弓部縮窄に対するステント留置術
札幌医科大学小児科1),市立室蘭総合病院小児科2)
富田 英1),高室基樹1),堀田智仙1),畠山欣也2)

【背景】年長児の大動脈縮窄に対しステント留置術が行われるようになってきたが,大動脈弓部の縮窄に対するステント留置術の報告は少ない.【症例】20歳の男性,身長157cm,体重56kg.大動脈縮窄複合のため 9 カ月時,動脈管結紮術,Blalock-Park法による大動脈弓再建術,肺動脈絞扼術,1 歳11カ月時,パッチ拡大術を受けたが圧較差が残存.転居に伴い18歳時,当科を受診.上下肢に40mmHg前後の収縮期血圧差を認めるため,MRI,心臓カテーテル検査を施行.左総頸動脈の遠位に狭窄があり,大動脈弓から下行大動脈へは急角度に屈曲し,ここにも扁平化した不整な狭窄を認めた.ステント留置前の引き抜き圧較差は30~40mmHgであった.【留置手技】右大腿動脈に13F Cookチェックフローイントロデューサを留置.0.035インチAmplatz SuperStiffガイドワイヤを上行大動脈に留置.Cook 11F GZVIの近位端を切断し,ここにメディキット 9Fスーパーシースを挿入してロングシースを作製.Palmaz P3008を12mm Z-MED IIにマウントし留置を試みたがステントが狭窄を通過せず断念.右上腕動脈に 5Fのシースを留置.5Fエンボイガイディングカテーテルに15mmスネアカテーテルを挿入.上行大動脈に留置したSuperStiffガイドワイヤの柔軟端を把持して,右鎖骨下動脈分枝部まで引き込みループを作製.これに沿ってロングシースとステントを挿入.バルーン拡大時,バルーンが遠位に移動したが,ロングシースでステントの近位を支持することによりバルーンを引き戻し,ステントを留置しえた.留置後の引き抜き圧較差は 8mmHgであった.【考察と結語】ロングシースやステントの通過が困難な,屈曲が強く,不整な大動脈弓部縮窄に対し,右鎖骨下動脈からガイドワイヤをスネアで把持しつつロングシースとステントを挿入することで良好な結果を得た.

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