P-I-B-20
経皮経肝静脈瘤塞栓術および門脈形成術を施行した門脈肺高血圧の 1 例
島根大学医学部小児科
安田謙二,林 丈二

【はじめに】門脈肺高血圧(PPH)は門脈圧亢進症に続発した前毛細管性の肺高血圧である.PPHの管理において肺高血圧に加え,合併しうる食道胃静脈瘤(EGV)の管理が重要である.今回われわれはPPHのEGVに対し経皮経肝静脈瘤塞栓術(PTO)および門脈形成術(PTV)を施行したので報告する.【症例】10歳 6 カ月男児.9 歳 9 カ月時に吐血を契機に門脈右枝閉塞,PPH(mPAp 73/34/m49mmHg,Rp 12.17units×M2),EGVと診断され,脾摘術および静脈瘤への供血血管結紮術が施行された.10歳 5 カ月時にEGVの再出血がみられ,内視鏡的EGV結紮術が施行された.血管造影で出血源の胃静脈瘤への供給血管は右胃静脈で,侵襲/治療効果からinterventional radiologyとしてPTOを選択した.【PTO/PTV】全身麻酔下で施行.エコーガイド下に 4Fロングシースを門脈内に留置,門脈造影で右胃静脈を供血路,食道静脈を排血路とする胃静脈瘤と,門脈左枝内に狭窄を認めた.門脈右枝は完全閉塞しており,門脈圧は22mmHgであった.4Fr shepherd hook catheterとMicroferretで右胃静脈を選択,排血路の血流速度低下の目的でTORNADE microcoil 5/2mm,7/3mmを留置,5%エタノラミンオレートでPTOを施行した.また門脈狭窄部に対し 5mm ElliteでPTVを施行したが狭窄は改善せず,シースを 6Fに交換,5mm peripheral cutting balloon(CB)で狭窄は改善した.PTO後に26mmgと上昇した門脈圧はPTV後23mmHgと改善し,術後 1 カ月の上部消化管内視鏡検査で胃静脈瘤の再発はなく効果良好であった.【まとめ】外科的/内視鏡的治療に抵抗性のEGVに対しPTOは有用であった.近年小児領域でもCBの有用性が報告されているが,PTV抵抗性門脈狭窄に対してもCBは有用であった.年長児において全身麻酔下で経皮経肝的アプローチは安全に施行しえた.

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