P-I-B-21
Modified BTシャントに対するコイル塞栓術―純型肺動脈弁閉鎖の 1 例での経験―
北里大学医学部小児科1),どれみクリニック小児科2),北里大学医学部胸部外科3)
飯島真紀子1-3),堀口泰典1),羽根田紀幸2),広田浜夫1),中畑弥生1),藤野宣之1),武田信裕1),小川夏子1),宮地 艦3),高崎泰一3)

【目的】肺動脈弁切開術とmodified BTシャント(BT)術後の純型肺動脈閉鎖(PPA)の 1 例にバルーン肺動脈弁形成術(BPV)とともにBTコイル塞栓術を行い,良好な結果を得たので報告する.【症例】症例は 2 カ月の女児.在胎37週 3 日体重2,712gで出生.在胎31週より胎児腹水,羊水過多が認められていた.出生後全身チアノーゼあり,心エコー図でPPAと診断.また,胎便性腹膜炎と胆道閉鎖の合併も確認された.生後 7 日,rBT(3.5mmøゴアテックス人工血管使用),動脈管結紮,経肺動脈肺動脈弁切開術を実施した.心エコー図上,三尖弁逆流減少,右室から肺動脈へ順行性血流も良好であったが,生後43日ころより多呼吸出現.胸部XP上心拡大と肺血管陰影増強あり体重も増加しなかった.rBT血流過剰による左室容量負荷が原因と考えられた.sinusoidal communicationなく三尖弁輪径が僧帽弁輪径の70~80%あり,右室形態もしっかりしていることから追加の肺動脈弁形成とrBT閉鎖を企図したが,胆道閉鎖による肝機能障害もあり侵襲の少ないカテーテル治療(BPV + rBTコイル閉鎖)を生後89日に実施した.BPV後,rBT試験閉塞で動脈血酸素飽和度低下ないことを確認の上MReye Flipper PDA closureコイル 5mm 3 巻 1 本をrBT内に留置.さらに同 3mm 3 巻 1 本追加で完全閉塞となった.術後多呼吸消失し心拡大も改善,体重増加も認められるようになった.また,心エコー図上,三尖弁逆流消失し卵円孔も閉鎖した.【考案】人工血管を用いたBTのコイル塞栓術は狭窄の明らかな例を除きコイル脱落が生じやすい.本例ではrBTは最狭部でも2.7mmøでほとんど狭窄は認めなかった.そこで 5mm 3 巻を腕頭動脈側よりBT末梢寄りに投入,BT血管(本来3.5mmø)を外に向かってコイルが圧迫するようにしたことで良好な固定が得られた.【結論】人工血管のコイル塞栓術ではその人工血管径より大きな径のコイルを用いて足がかりを作ればより確実に閉塞できるものと思われた.

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