P-I-B-22
総腸骨動脈絞扼術および内腸骨動脈からの側副血行路のコイル塞栓術により心不全をコントロールしているParks-Weber症候群の 1 例
国立循環器病センター小児科1),国立循環器病センター放射線診療部2)
吉村真一郎1),塚野真也1),越後茂之1),木村晃二2)

Parks-Weber症候群とは動静脈奇形によるシャントとリンパ管浮腫,毛細血管レベルでの血行障害の複合病態であり,シャント血流の増多による心不全と四肢のリンパ浮腫,虚血性潰瘍を症状とする極めてまれな疾患である.今回,総腸骨動脈絞扼術および内腸骨動脈からの側副血行路のコイル塞栓術により心不全を良好にコントロールしている症例を報告したい.【症例】25歳女性.生下時から右下肢の腫脹がみられ,Krippel-Weber症候群と診断,手術は困難と言われていた.心拡大進行し,6 歳時当院紹介.LVEDV 205ml(251%),LVEF 50%,LVEDP 22mmHgであり,右下肢の動静脈奇形でのシャント血流による心不全と診断し,右総腸骨動脈絞扼術,右内腸骨動脈結紮術を施行された.1 カ月後には,LVEDV 142ml(174%),LVEF 58%,LVEDP 11mmHgとなった.19歳時,心拡大の進行を認めLVEDV 248ml(181%),LVEF 69%,LVEDP 13mmHgであり,左前仙骨動脈および左内腸骨動脈から分枝している計 5 本の動脈に対して,コイル塞栓術を施行した.25歳時,LVEDP 12mmHg.LVEDV 177.3ml(134%),LVEF 53%.SVCを混合静脈血と考えた場合Qp/QSは3.17,cardiac outputは13.1l/minで下肢AVMでのシャントによる心負荷はコントロールできているものと考えた.右総腸骨動脈banding後ではあるが,腹部大動脈のflowはほとんどが右側に流れてしまい,左内腸骨動脈の側副血行路から右外腸骨動脈へstealが多く描出された.数年前より難治性の下肢潰瘍を反復しており,現時点でのinterventionは下肢潰瘍悪化のriskの方が高いと判断され,現状の保存療法を続行することとしている.現在利尿剤を内服しているが,DOEはなく経過している.

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