P-I-C-3
先天性大動脈弁狭窄における電子ビームCT上のlate enhancement(造影後期濃染像)の意義
国立循環器病センター小児科1),国立循環器病センター放射線診療部2)
竹川剛史1),廣田正志1),鶏内伸二1),黒嵜健一1),内藤博昭2),越後茂之1)

【背景】電子ビームCT(EBT)を用いた心筋評価において,大動脈弁狭窄(AS)ではほぼ全例で心内膜下領域に虚血を意味する造影早期不良(ED)を認め,その一部で後期濃染(LE)を認める.LEは心筋の線維化を示すが,ASにおいてその臨床的意味は明らかではない.【目的】ASにおけるLEの血行動態上の意義を明らかにする.【対象】6 カ月以内の間隔でEBTと心臓カテーテル検査(CATH)を施行した先天性AS 16例を対象とした.EBT施行時の年齢は 0~29歳(中央値11.1歳),男児13例,女児 3 例.【方法】EBTはImatron C-100,150を用い,単純像,造影早期像,造影後期像を撮像し,既載の方法でLEの有無を評価した.LE+ とLE- の 2 群間で,CATHにおける大動脈弁圧較差(PG),左室収縮期圧(LVP),左室拡張末期圧(EDP),肺動脈楔入圧(PCW),肺動脈平均圧(PAP),左室拡張末期容積の正常値比(%EDV),左室駆出率(EF),肺血管抵抗(Rp),心拍出量(CI)を比較検討した.【結果】全例で心内膜下領域にEDを認めた.LEを認めたものは 6 例(37%)で,その領域は全例が心内膜下領域であった.LE+ 群ではLE- 群に比してCIが低い傾向を認めた[3.4±0.6L/min./M2 対4.3±0.6L/min./M2(p = 0.077)].2 群間で年齢,PG,LVP,EDP,PCW,PAP,%EDV,EF,Rpに差は認めなかった.【結語】先天性ASにおいて,心筋線維化と心拍出量とに関連がある可能性がある.LEを認める先天性ASは,心拍出量低下の可能性を考え,より慎重な対応が必要である.

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