P-I-C-4
新生児大動脈病変の 3DCT診断
あいち小児保健医療総合センター循環器科1),あいち小児保健医療総合センター心臓血管外科2)
小島奈美子1),長嶋正實1),安田東始哲1),福見大地1),前田正信2),岩瀬仁一2),佐々木滋2),水野明宏2)

【背景】従来から新生児大動脈病変の評価としてエコー,カテーテル,橈骨動脈造影などが行われてきたが,より侵襲が少なくより正確な評価方法が求められてきた.近年立体認知の容易な 3DCT診断が心拍数の速い新生児に対しても可能となりつつある.【目的】3DCTによる新生児大動脈病変の診断能を検討する.【対象】左心低形成症候群 3 例,両大血管右室起始兼大動脈縮窄症 1 例,両大血管右室起始兼大動脈離断症 1 例,大動脈離断兼第 5 弓遺残症 1 例の計 6 例.うち 5 例については手術前後の 2 回評価を行った.術前CT検査時の日齢は 4~9 日で,体重は2,300~3,450であった.【方法】造影剤はイオパミドール61%を原液あるいは 2 倍希釈で使用した.総量は体重 1kgあたり 2mlで,注入速度は 1 秒あたり 1mlで行った.注入部位は末梢静脈および中心静脈を使用した.末梢静脈からの場合は注入開始15秒から,中心静脈の場合は 8 秒後から撮影を開始することを原則とした.大動脈縮窄症の 1 例以外は全例ショックで発症しているため術前は人工呼吸管理をされており,呼吸抑制下にCTを施行した.術後安定期の形態評価CTについては鎮静のみで特に呼吸抑制は行わなかった.【考案】上行大動脈造影が不十分な左橈骨動脈造影や三次元病変の同時描出が困難なエコーに比べ,3DCTは大動脈全体の画像構築が可能であった.術中所見ともよく合致しており,3DCTのみで手術に必要な大血管の情報を得ることは可能であった.呼吸抑制下で施行した画像のほうがより鮮明であったが,大血管病変の評価に関しては呼吸抑制を行わなくても比較的十分な情報が得られた.【まとめ】3DCTは,新生児であっても心拍の影響が少ない大血管の画像診断には有用である.

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