P-I-C-5
MAPCAの診断と治療に対する3D-CTの有用性
聖隷浜松病院小児循環器科1),聖隷浜松病院心臓血管外科2)
水上愛弓1),武田 紹1),小出昌秋2),打田俊司2),立石 実2),渡邊一正2),岡西 徹1)

【はじめに】主要大動脈肺動脈側副血行(以下,MAPCA)の外科治療において,術前のMAPCAの本数や形態の評価は重要であるが,心エコー図検査や血管造影のみでは不十分であったり,とりわけ乳児においては使用する造影剤が過量になってしまう場合がある.新生児を含む乳児のMAPCAに対し3D-CTを施行し,その形態評価に非常に有用であったので報告する.【対象と方法】TOF,PA,MAPCAと診断した乳児 2 例に対し日齢10,13および11カ月時に計 3 回のCT検査を施行した.使用した機器はGE社製マルチスライスCTスキャナLight Speed Ultra16,0.625mm厚,患児は全身麻酔・心拍モニタ下に下肢末梢静脈より造影剤(イオパミロン)2ml/kgを0.8ml/secで注入した後,筋弛緩剤を用いて約15秒間呼吸停止の状態とした.三次元(3D)画像再構築はAdvantage Workstation ver. 4.0を用いて,MIP,volume renderingで行った.【結果】3D-CT画像によりMAPCAは明瞭に描出され,起始部やその形態が確認できた.新生児期に中心肺動脈の同定には至らなかったが,11カ月時にuniforcalization手術に際してはMAPCAの走行が詳細に把握でき,術式の選択に非常に有用であった.なお撮影時間は約30秒だが,麻酔導入・覚醒も含めた全検査時間は約 1 時間であった.全身麻酔や呼吸停止による合併症は認められなかった.【結論】3D-CTにより乳児においても低侵襲でMAPCAの形態評価が可能であり,治療計画を立てるのに有用であると考えられる.

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