P-I-C-6
MDCTで明瞭に描出された川崎病後の冠動脈瘤の 1 例
大阪医科大学小児科1),大阪医科大学放射線科2),阪和住吉総合病院小児科3),生駒総合病院小児科4)
尾崎智康1),片山博視1),森 保彦1),可児弘行2),清水俊男3),清水達雄4)

【はじめに】小児における従来のmultidetector CT(MDCT)の冠動脈の描出は,高心拍や呼吸などの制限を伴うため困難であった.今回われわれは,心拍抑制せず呼吸停止のみで冠動脈病変を明瞭に描出できた,川崎病症例を経験したので報告する.【症例】15歳男児.4 歳時に川崎病に罹患,冠動脈瘤を合併した.13歳時のCAGではRCAに 3 カ所(径4.0~6.4mm)の中等度瘤,LADに 1 カ所(径10.4mm)の巨大瘤を認めた.狭窄病変は認めなかった.15歳時の心臓超音波検査ではRCA 6.6mm,LAD 11.0mmの動脈瘤を認めていた.【方法】MDCTは東芝社製16列検出器Aquilion multiを用いsegment再構成法で三次元構築した.造影剤イオメロン350原液を4.0ml/秒で100ml(2ml/kg)注入,心電同期下で0.4sec/rot,ヘリカルピッチ3.2,スライス厚0.5mm,呼吸停止27.6秒で撮像した.撮像中の心拍は122~135/分であった.β-blockerは使用しなかった.【結果】冠動脈は三枝とも末梢まで明瞭に描出しえた.冠動脈瘤の計測はCAGの所見と合致していた.また,狭窄病変の所見も認めなかった.【結論】冠動脈瘤を伴う川崎病では定期的な心血管造影を余儀なくされるが,本法においても明瞭な像が得られ,患者の負担を軽減させることが期待できる.


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