P-I-C-8
The cusp imbalance indexを用いたVSD with aortic cusp prolapse and ARの評価について
浜松医科大学小児科
岩島 覚,大関 武彦

【はじめに】富田らは心エコーにて大動脈短軸から得られる大動脈弁尖の幅,右冠尖/左冠尖(R/L),無冠尖/左冠尖(N/L)すなわちCusp imbalance index(CI)を用いVSD with aortic cusp prolapse(ACP)に合併するAR進行の予測因子になりうるか否かを評価し報告した(Jpn Circ J 65: 500-504, 2001).今回,われわれは大動脈弁逸脱,大動脈弁逆流を合併しうるKirklin 分類VSD 1,2 型についてCIを用い前方視的に検討したので報告する.【対象,方法】対象は2001年 7 月から当院および関連病院を受診したKirklin分類VSD 1 型(n = 18),VSD 2 型(n = 70)とコントロール群(n = 49).コントロール群は無害性心雑音,冠動脈異常を認めない発症 1 年以上経過した川崎病児等.方法は心エコーを行いCIおよび各種パラメータを計測した.【結果】コントロール群におけるR/L = 1.26±0.19,N/L = 1.05±0.15で,これらの値は年齢,身長,体重,BSAとの相関関係は認めずR/L,N/Lは年齢的,体格的変化の影響を受けない指標と思われた.初回計測時に右冠尖もしくは無冠尖の逸脱を認めた症例はVSD 1 型14/18(77.7%),VSD 2 型 4/66(6%).今回の経過中にAR増悪を認めた症例はいなかった.初回計測時のR/L,N/LはVSD 1,VSD 2 型ともコントロール群との有意差を認めなかった.VSD 1 型の 9 症例で初回計測時より 2 年以内に再度R/L,N/Lが計測できR/Lは初回計測時1.22±0.13から再計測時に1.39±0.22(p = 0.0229)と今回の経過中に有意な変化を認めた.【まとめ】CIはACP and ARの定量的な評価を行える一つの指標と思われ,経年的に評価することは逸脱の程度,ARの進行程度を判断する指標になりうると考えられた.しかし今回の検討ではARの増悪した症例が含まれず,症例数も少ないことからさらなる検討が必要と思われる.

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