P-I-C-14
新生児,乳児期の心臓血管外科手術における3D CTの有用性の検討
聖マリアンナ医科大学心臓血管外科1),国立成育医療センター心臓血管外科2),国立成育医療センター循環器科3)
近田正英1),関口昭彦2),戸成邦彦2),高岡哲弘1),石澤 瞭3),百々秀心3),磯田貴義3),金子正英3)

【目的】3D CTは成人の大動脈解離などで有用性が認められている.最近小児の心臓血管外科手術における有用性が報告されている.今回われわれは,新生児,乳児の心臓血管外科手術における3D CTの有用性を検討したので報告する.【対象および方法】国立成育医療センターで2002年 6 月から2003年12月までに手術が施行された新生児,乳児で,大動脈,肺静脈疾患10例とファロー四徴症 6 例を対象とした.大動脈疾患は,大動脈縮窄症 7 例,重複大動脈弓 2 例で,CT撮影時の体重は2.1kgから8.7kgであった.肺静脈疾患は2.3kgのTAPVRの症例であった.ファロー四徴症は,体重が6.7kgから11.6kgであった.大動脈肺静脈疾患は,経胸壁心エコーとの比較を中心に手術において3D CTの有用性を検討した.ファロー四徴症は,心臓カテーテル検査の造影と比較して,まずPA indexを検討し,さらに手術における有用性の検討も行った.【結果】重複大動脈弓の 2 例は,CTにより確定診断が行えた.2 例ともCTにて細い方の大動脈弓を切断した.AP window合併例は,手術所見がCT像に酷似していた.大動脈縮窄症の 7 例は,大動脈の分枝と狭窄部の位置関係が心エコーよりよく解明でき,手術方針の決定に有用であった.肺静脈疾患はinfra TAPVRで,垂直静脈の還流が心エコーで不明のため3D CTが施行された.門脈系に還流する垂直静脈が明瞭に描出された.ファロー四徴症では,PA indexはカテーテル造影では184から370で,CTでは191から370であった.r = 0.88と有意な相関が認められた.肺動脈の形状は,3D CTではカテーテル造影と比較すると狭窄がやや強調されすぎる印象があった.【結論】新生児,乳児の心臓血管外科手術において,3D CTは大動脈肺静脈疾患では,心エコーに比較して有用であった.肺動脈に関しては,PA indexを推定するだけであれば,心臓カテーテル検査に替わりうると考えられた.

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