P-I-D-2
新生児大動脈縮窄症および大動脈弓離断症に対する治療の検討
北海道大学医学部循環器外科1),北海道大学医学部小児科2)
八田英一郎1),窪田武浩1),若狭 哲1),橘  剛1),村下十志文1),安田慶秀1),齋田吉伯2),武田充人2),上野倫彦2),村上智明2)

【目的】当科における新生児大動脈縮窄症(CoA)および大動脈弓離断症(IAA)に対する治療を検討.【対象】1994年 8 月から2003年12月に新生児期に治療を行ったCoA 12[simple 2,complex 10(VSD 6,DORV 4)],IAA 6(type A 5,B 1,VSD 5,AP window 1)例.男児 8,女児10例.手術時体重は2.2~3.8(平均2.9)kg.日齢 3~20(14).Shock状態での手術 2 例.【手術】CoA:全例左側開胸から大動脈修復{EAAA 7,SFA 5 例[うち 4 例はarch径(mm)が体重(kg)+1 未満]}.complexの10例はPABを同時施行(二期的根治).IAA:4 例は左側開胸からEAAAおよびPABを施行(二期的根治).VSD(RAA)の 1 例およびAP windowは正中からの一期根治でEAAA施行.大動脈の吻合はmonofilament polypropylene糸の連続縫合.【結果】大動脈遮断時間は21~70(41)分.大動脈修復,根治術とも早期死亡なし(0%).遠隔期死亡 1 例(CoA,VSD根治後遠隔期の突然死)(5.6%).paraplegia 1 例(CoA,DORVに対するEAAA後)(5.6%).大動脈修復から根治術(10例施行済み)までは 3~23(平均11.7)カ月.再狭窄は 2 例(IAA,CoA 1 例ずつに対するEAAA後)(11%)で術後 4,2 カ月後にBAP.CoA 3(すべてSFA),IAA 1 例に圧較差 0 ながら形態的くびれが存在.狭窄のない症例でも遠隔期のIVUSで吻合部の硬化が存在.【まとめ】当科では新生児CoAおよびIAAに対し原則的に大動脈修復を第一期手術(側開胸)とし心内修復は二期的に施行,側開胸手術の困難な症例に対しては一期根治でEAAAを施行したが,いずれも術後早期死亡なく治療方針は妥当であったと考える.再狭窄率は11%であったが,PDA組織のより確実な切除が必要と思われた.狭窄がない症例にも吻合部の硬化が認められたことから吻合に用いる糸の再検討も必要と思われた.

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