P-I-D-3
新生児期人工心肺使用症例に対する早期成績の後方視的検討
静岡県立こども病院心臓血管外科
坂本喜三郎,西岡雅彦,藤本欣史,太田教隆,村田眞哉,中田朋宏,関根裕司,横田通夫

【目的と方法】2003年末までに行った新生児期人工心肺使用手術症例の早期死(< 30d),病院死(心臓関連死亡以外も含む),軽快退院を,2 心室根治手術群(B群:153例)と姑息手術群(P群:120例)に分けて後方視的に検討する.【成績】年度別軽快退院率をグラフで呈示する.症例数は,~1984(B群:9,P群:2),1985~1989(B群:30,P群:26),1990~1994(B群:32,P群:24),1995~1999(B群:41,P群:33),2000~2003(B群:41,P群:35)であった.【考察】(B群)1984年まで軽快退院例がなかったが,1985年以降に成績が向上し始め1995年以降から成績が安定(TGA,CoA-IAA complex,TAPVC群では軽快退院率が95%以上)した.しかし,CPVA,Ebstein,APVS等の肺,肺血管系に重篤な問題を持つ群の救命はいまだに困難であった.(P群)1990年までは早期死率80%と手術を乗り切るのさえ困難であった.1997年以降にようやく軽快退院率で60%を超えるようになったが,これにはHLHSが大きく関与(最近の軽快退院率80%以上)していた.【結論】新生児期人工心肺使用手術の早期成績は,多因子の寄与により時代とともに改善されてきた.今後は遠隔期QOLを反映させる治療方針の検討が重要になると考える.


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