P-I-D-4
心内膜床欠損症に対するmodified one patch法を行った 3 症例
北海道大学医学部循環器外科1),北海道大学医学部小児科2)
窪田武浩1),若狭 哲1),橘  剛1),八田英一郎1),村下十志文1),安田慶秀1),村上智明2),上野倫彦2),武田充人2),齋田吉伯2)

SydneyのG. Nunnが心内膜床欠損症(CAVC)全症例をmodified one patch methodで修復し良好な成績を報告している.2003年 3 月より当科では連続 3 例,同方法による根治手術を行ってきた.【症例 1】CAVC(A)/Down/post PAB.体重11.1kg,男児.2001年在胎38週3,198gで出生し 1 カ月時他院でPAB施行.1 歳 3 カ月時に根治手術.【症例 2】CAVC(A)/PDA/PH/Down.体重3.5kg,女児.2003年在胎38週で出生.鎖肛を合併しており鎖肛の手術を先行し生後 7 週目に根治手術を行う.【症例 3】CAVC(A)/PLSVC/PH/Down.体重3.1kg,男児.2003年在胎38週体重2.3kgで出生,1 カ月時胸骨正中切開でPAB施行.2 カ月時,肺高血圧の進行があり 2 カ月時に根治手術を行う.【手術】bicaval cannulationで体外循環を確立し症例 3 にはLSVCにもcannulationを加えた.心室中隔欠損(VSD)は共通房室弁の分割ラインに沿って直接閉鎖し,共通房室弁は前後に約 8 割となるようゴアテックスストリップで補強し縫縮した.心房中隔は自己心膜で閉鎖し冠静脈洞は右房に残した.【結果】手術時間,大動脈遮断時間,人工心肺時間は症例 1:324分,127分,191分.症例 2:250分,88分,144分.症例 3:371分,98分,204分.UCG上,moderate以上の弁逆流,左室流出路の狭窄を認めていない.術中計測したVSDの深さはおのおの10,5,6mmであったがscoopingの増悪を示唆する所見もなかった.【まとめ】症例 2 にVSD直接閉鎖による心尖部の変形を認めた.今後,血流の軸が変わることによる影響とパッチ閉鎖に比し全周心筋によって形成された左室であることから有利に働く可能性とを考慮しフォローしていく方針である.

閉じる