P-I-D-10
エプスタイン奇形術後にCarpentier ring,sliding法(Carpentier法)で再弁形成した 1 例
岡谷塩嶺病院心臓血管外科
畑 博明,吉武 勇,宇野澤聡

【症例】22歳男性.1996年 3 月他院にてエプスタイン奇形,severe TRに対し右房化右室縫縮(longitudinal plication),三尖弁形成,DeVega法による弁輪縫縮術施行.紹介医にて経過観察された.経過中severe TR.心拡大を示し,2001年 3 月加療目的に当院紹介,経過観察となる.洞調律であるがCTR53.2%と増加,肝うっ血増悪を認め手術適応と判断した.心臓カテーテル検査,UCG,Live 3D Echoを施行し,自己弁の可動性を観察し,自己弁温存可能と判断,2003年12月10日再弁形成術施行.下垂転移した中隔尖は菲薄退縮し形成不能であり.後尖を弁輪よりほぼ切離,中隔尖から後尖弁輪部に再縫着(sliding)し弁輪縫縮し,弁輪はCarpentier ringで補強した.術後洞調律を維持し,TRは残存したものの 1 度に改善.CTRも43.3%に改善した.【考察】エプスタイン奇形の術式にLillehei-Hardy法のtransverse plicationは右房化右室の奇異運動の縫縮の効果を目的とするが,右室の歪みを生ずる可能性がある.Carpentier法のlongitudinal plicationは右室形態を良好に保ちうるが前後 2 尖の可動性が保たれている必要がある.その術前評価にLive 3D Echoは有用であった.

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