P-I-D-17
上行大動脈病変と高度の末梢肺動脈狭窄病変を合併した症例の外科治療
埼玉医科大学心臓血管外科1),埼玉医科大学小児心臓科2)
桝岡 歩1, 2),朝野晴彦1),尾崎公彦1),阿部馨子1),許 俊鋭1),小林俊樹2),先崎秀明2),竹田津未生2),石戸博隆2),松永 保2)

【背景】Williams症候群に見られる,大動脈弁上狭窄に末梢肺動脈狭窄を合併した病態はよく知られている.時に末梢肺動脈狭窄は高度であり,手術治療によっても成長が認められず,予後不良である場合がある.今回,上行大動脈病変と高度の末梢肺動脈狭窄病変を合併した 3 症例を経験したので報告する.【症例 1】診断:DORV TGA 左室低形成 PPS CoA 生後 3 日でCoAの修復施行.PAの発育を待ったが成長せず,1 カ月時DKS B-T shunt PPS patch plasty施行.angio上の肺動脈の発育は全く認められなかったが,高肺血流となるため 3 カ月時Glenn手術施行した.【症例 2】診断:大動脈弁上狭窄,PPS ASの圧較差は20mmHgであるため放置し,PPSのみをpatch plastyした.肺内肺動脈にも狭窄は見られたが,6 カ月後のangioで肺動脈の成長は良好であった.本例は染色体検査でWilliams症候群は否定された.【症例 3】診断:VSD 上行大動脈瘤 PPS 肺動脈の成長を待っていたが,成長せず,心不全増強するため 2 カ月時に手術.上行大動脈瘤は 2cm大に拡大.瘤を切除し端端吻合.PPS patch plasty VSD patch closure施行.肺動脈の発育は良好であった.肺動脈の病理所見はいずれも内膜,中膜の肥厚は高度であったが,繊維化は少なく,むしろmixysomatousな変化であった.【まとめ】高度なPPSに上行大動脈病変を合併した 3 例を経験した.それぞれの肺動脈成長の経過は異なるものの,経過は良好であった.病理所見では壁の病変はmixysomatousな変化であった.

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