P-I-D-19
自己心膜による心室中隔欠損閉鎖術の術後遠隔成績
東京慈恵会医科大学小児科1),東京慈恵会医科大学心臓外科2)
寺野和宏1),河内貞貴1),齋藤亮太1),浦島 崇1),藤原優子1),衛藤義勝1),木ノ内勝士2),松村洋高2),宇野吉雅2),森田紀代造2)

【目的】perimembranous VSDに対する心内修復術として当院では1996年より自己心膜パッチを使用した閉鎖術を施行してきた.今回,自己心膜と異種心膜によるperimembranous VSDの心内修復術の遠隔成績を比較検討した.【対象】1993年から2003年に当院心臓外科にてVSDの心内修復術を施行した全180例のうち,パッチ閉鎖を施行したperimembranous VSD 118例に対する検討.自己心膜症例は57例のうち55例が経過観察可能であり,異種心膜症例は61例のうち53例が経過観察可能であった.これらの症例を診療録から後方視的に検討した.【結果】自己心膜群は55例のうち,術直後の残存短絡を20例に認めたが,その後の経過観察で15例に自然閉鎖を認めた.残存短絡を認めた残る 5 例中 3 例は術後 1 年以内の症例であるが,これらの症例は心エコー上で明らかな残存短絡量の低下が見られている.パッチの変形はなく瘤状変化を来した症例はない.異種心膜群は術直後の残存短絡を14例に認めていたが,自然閉鎖したのは 5 例のみであった.術後のパッチ溶血を 3 例に認め,そのうち 2 例が再手術となった.また術後の感染性心内膜炎を 2 例に認めている.両群とも,病院死,遠隔死を認めなかった.【結語】自己心膜パッチを使用した欠損孔閉鎖術は術後の残存短絡があってもその後の自然閉鎖が異種心膜と比較してより有意に期待できる.左室圧による自己心膜の瘤状変化を来した症例はいなかった.異種心膜パッチと比較して溶血,感染性心内膜炎の合併症を認めにくく術後成績として良好な結果であった.

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