P-I-D-20
Valved pericardial rollを用いたRastelli手術後の遠隔期成績
大垣市民病院小児循環器新生児科1),大垣市民病院胸部外科2),あいち小児保健医療総合センター心臓血管外科3)
倉石建治1),鈴木登士彦2),西原栄起1),六鹿雅登2),横手 淳2),横山幸房2),玉木修治2),前田正信3),田内宣生1)

【目的】Rastelli手術は導管狭窄による再手術率が高い.手術後の遠隔期成績から,他の利点や欠点を探ってみた.【対象】1990~1997年の 7 年間に当院でRastelli手術を受けた16例のうち,5 年以上経過の追えた11例(R群).男女比 5:6.術後観察期間は6.8~12.7年(平均9.7年).基礎疾患は肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損 4,ファロー四徴症(TOF)2,完全大血管転位 3 型(dTGA3)2,両大血管右室起始兼肺動脈狭窄 2,総動脈幹症 1 例.全例,異種心膜で作成したvalved pericardial rollを導管に用いた.対照として,観察期間 5 年以上の肺動脈弁輪温存TOF手術後11例(T群),1 弁付きパッチによる右室流出路再建手術後19例(M群)を用いた.【方法】後方視的に検討し,Kruskal-Wallis,Scheffe's F検定を用いてp < 0.05を有意差ありとした.【結果】導管狭窄による再手術は 7/11例で,術後5.8~10.3年(平均8.5年)に行われ,2 例が再手術待機中である.dTGA3の 2 例は,手術時年齢 4 歳,10歳,術後観察期間各8.2,12.7年で導管狭窄の悪化がなかった.遠隔死はなかった.以下T群,M群,R群の順に中央値w標準誤差で示し,有意差のあるものにp値を記した.手術時年齢:2.0±0.1,2.3±0.4,4.6±0.9歳(T-R p = 0.047),心胸郭比:53±2.0,56±1.5,54±1.1%,心臓超音波による肺動脈弁逆流(痕跡まで = 0,軽度 = 1,中等度 = 2 度):0.55±0.5,1.1±0.7,1.3±0.6度(平均±標準偏差),同じく推定右室圧:35±2.7,37±2.7,49±5.9mmHg(T-R p = 0.005,M-R p = 0.028),心室期外収縮発生率:0.18±0.4,0.21±0.4,0.27±0.5(平均±標準偏差).心室頻拍は 1 例に認めた.再手術待機中以外は全例運動制限不要であった.【結論】導管狭窄による再手術が多く,術後右室圧は有意に高いが,その他心胸郭比,肺動脈弁逆流に有意差なく,QOLは比較的良好であった.再手術不要例がどのような症例かは,より多数の検討が必要である.

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