P-I-D-21
Rastelli術後遠隔期の検討―性別の観点から―
九州厚生年金病院小児科1),九州厚生年金病院心臓血管外科2)
竹中 聡1),城尾邦隆1),弓削哲二1),岸本小百合1),山村健一郎1),井本 浩2),瀬瀬 顯2)

【はじめに】Rastelli術の再手術の原因として弁の石灰化,成長に伴う相対的狭窄が挙げられる.【目的】再手術の原因を男女別で検討する.【対象・方法】1983年~2003年にRastelli術を施行した22例のうち,3 年以上経過した17例を対象とした.これらをA群:男児 7 例,B群:女児10例に分け,血清Ca値,血清ALP値,成長率(身長)を検討した.疾患内訳はTOF 8 例,dTGA 6 例,DORV 2 例,Truncus 1 例で,そのうちPA 10例(MAPCA 3 例含む),PS 5 例,absent P valv 1 例であった.【結果】初回Rastelli術施行年齢はA群5y4m(2y6m~8y11m),B群7y9m(5m~19y6m)であった.全例弁付き導管を使用し,A群:Carpentier-Edwards(EC)14mm 1 例,Hancock(HC)16mm 1 例,CE 20mm 5 例,B群:CE 14mm 1 例,HC 16mm 1 例,CE 20mm 6 例,HC 20mm 1 例,CE 22mm 1 例であった.再手術は10例(A群 5 例,B群 5 例)で施行され,再手術率は58.8%(A群71.4%,B群40.0%)で,男児が高かった.また,再手術年齢はA群14y0m(13y3m~19y8m),B群14y7m(2y10m~22y2m)であった.B群のうち 1 例はBVPで 5 年 8 カ月間,手術を回避できた.再手術の原因は,石灰化による狭窄 5 例,相対的狭窄 3 例,感染性心内膜炎 2 例であった.全症例中,石灰化はA群 6 例(87.8%),B群 4 例(40.0%)と男児が多かった.再手術前の血清Ca,ALPの検討では,CaはA群9.2mg/dl(9.1mg/dl~9.5mg/dl),B群9.4mg/dl(8.8mg/ml~9.5mg/ml)で有意差はなかったが,ALPはA群796IU/l(597IU/l~1,198IU/l),B群398IU/l(102IU/l~649IU/l)で男児が有意に高値であった.一方,成長率はA群5.8cm/年(4.9cm/年~6.6cm/年),B群4.9cm/年(0cm/年~6.9cm/年)で有意差を認めた.【結論】男児の再手術率が高く,その要因として骨代謝および成長率が関与している可能性が示唆された.

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