P-I-E-1
乳幼児開心術後のCO2濃度の脳代謝への影響
長野県立こども病院心臓血管外科
日比野成俊,原田順和,平松健司,益原大志,本田義博

【目的】乳幼児の開心術において,さまざまな体外循環中の因子が脳血流代謝に影響を及ぼし,予後に関与することが報告されているが,開心術後管理における因子の影響については不明な点が多い.今回,開心術後管理におけるCO2濃度の変化が脳組織代謝に及ぼす影響を脳血流代謝モニタリングからprospectiveに検討した.【対象】2003年に根治術を施行した乳幼児開心術症例 6 例を対象とした.症例の内訳は,TGA 2 例,TOF 1 例,VSD 2 例.手術時年齢1.4±1.7歳,体重7.1±4.4kg.【方法】脳血流代謝モニタリングとして近赤外線分光器(NIRS:浜松ホトニクス社製NIRO300)を用い,リアルタイムモニタリングした.血行動態の安定したICU入室 3 時間後から30分ごとにCO2の濃度を呼吸器の設定を変更することで変化させ,これが血液PH,BE,lactateおよびNIRSデータ(tissue oxigen index)に及ぼす影響に関して統計学的に検討した.【結果】CO2濃度の上昇に伴いTOI,PH,BEは有意に上昇したが,lactateは有意な影響を受けず,CO2濃度とTOIの変化の間には有意な相関関係(r = 0.609,p < 0.05)が認められた(図参照).【結語】乳幼児の開心術後管理において,CO2濃度の上昇は,lactateの濃度には影響を与えずに,脳血流量を増加させることが示唆された.


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