P-I-E-11
沖縄県立中部病院で小児の開心術後に遠心ポンプによるVAバイパス補助をした 6 例のうち生存 4 例の神経学的予後の検討
沖縄県立中部病院小児科
中矢代真美,我那覇仁,本竹秀光,鈴木嘉一,天願俊穂

【背景】複雑心疾患の術後に体外循環補助を要する小児は少なくないが,生存例の神経学的予後について詳しい調査は乏しい.【方法】当院で2001年から2004年までの期間中に,心臓術後遠心ポンプによる循環補助を要した小児 6 例について,診療録を後方視的に調査した.【症例】全循環補助症例のうち,年齢は生後 8 日から 2 歳 5 カ月までで,平均年齢は8.6カ月,うち新生児が 3 人であった.基礎心疾患はcomplete AVSD 1 例,TGA 1 例,Taussig-Bing 1 例,partial AVSD 1 例,HLHSが 2 例であった.循環補助の適応はポンプ離脱不能が 4 例,一旦離脱後ICUでlow output syndromeとなったものが 1 例,術後のhypoxiaが 1 例であった.循環補助時間は平均109時間(範囲54~204時間)であった.バイパスによる合併症は出血傾向が全例にみられたが,循環補助中の脳内出血はなかった.6 例のうち,生存例は4例であった.生存例の平均年齢は9.3カ月,うち 2 例は新生児であった.生存例の循環補助時間は平均85時間(範囲54~153時間)であった.フォロー期間は抄録提出現在までの時点で平均13.8カ月(6~25カ月)である.神経学的予後に関しては,新生児 2 例および,2 歳 8 カ月のダウン症児は正常である.5 カ月時に153時間の循環補助をした症例は現在生後14カ月でまだ頸定ができないが,人見知り,おもちゃの手を持ち変えるなどあり,少しずつ発達の獲得が得られている.【結論】当院における小児心臓術後の補助循環症例は生命予後,神経学的予後ともに良好であった.遠心ポンプ補助循環は脳循環が保たれることが示唆される.生命予後,神経学的予後をさらに改善するための方策を明らかにするには,さらなる症例の蓄積と長期にわたるフォローが必要である.

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