P-I-E-13
フォンタン手術適応外であった 2 症例
東京大学医学部心臓外科
高岡哲弘,村上 新,前田克英,高本眞一

【背景】フォンタン手術適応外であったが経過観察の過程で,あるいは積極的なインターベンションにより適応となった症例を経験したので報告する.【症例1】9 歳男児,体重25kg.診断は,SRV,DORV,p-coarctectomy,PAB,ASD creation.4 歳時の心臓カテーテル検査でLPA 76/33mmHg,RPA 38/24mmHgとPHのため,フォンタン手術適応外となった.8 歳時には,LPA 32/15(23)mmHg,RPA(17)mmHg,Rp 2.6U・m2,PAI 260とPHの改善がみられ,フォンタン手術適応とされた.9 歳時にBCPSとPA plasty,その 6 カ月後にTCPCを施行し経過順調であった.BCPSの際行った肺生検では,肺小動脈の内膜病変は全く存在せず,この結果からも手術適応ありと判断した.【症例 2】15歳女児,体重39kg.診断はTA(Ic),ASD,p-PAB,BCPS,PPS,stenting at LPA.13歳時にBCPS施行後,気道狭窄のため気管切開施行.PPSが強くフォンタン手術適応外となったが,10mmのPalmaz stentをLPAに挿入後,PAP 10mmHg,PAI 161,Rp 3.2U・m2となりTCPC施行した.【考察】PAの圧や形態からフォンタン手術適応外となった症例でも,厳重な経過観察や積極的なインターベンションにより適応可能となる場合がある.心臓カテーテル検査だけでなく,肺生検から得られる情報は非常に重要であり,また,ステントまで含めたインターベンションはPPSの解除に有効であった.【結語】フォンタン手術適応外となった症例も厳重な観察のもと,再適応となる時期や治療方針を常に考えていくべきである.

閉じる