P-I-F-3
Arterial switch operation時のBretschneider心筋保護液の有用性について
埼玉医科大学心臓血管外科1),埼玉医科大学小児心臓科2)
朝野晴彦1, 2),桝岡 歩1),山火秀明1),阿部馨子1),尾崎公彦1),許 俊鋭1),小林俊樹2),先崎秀明2),増谷 聡2),竹田津未生2)

【背景】TGAに対するarterial switch operationの成績は向上しているが,冠動脈移植や長時間の大動脈遮断による心筋虚血が問題になる場合がある.われわれは細胞内液に近い組成を持つBretschneider液を心筋保護液として使用してきたが,約100分前後に心筋保護は 1 回の注入で可能であり,冠動脈内にカテーテルを挿入する必要もなく,arterial switch operation時は有効である.【目的】Bretschneider液を使用したarterial switch operation例の検討を行うこと.【症例】1999~2003年にBretschneider液を使用した13例(BR群)(I 型11例,II型 2 例)とそれ以前のblood C.Pを使用した 4 例(BC群)(I 型 4 例)を比較した.【結果】手術死亡BR群 1/13(7.6%)BC群 2/4(50%),人工心肺時間BR群182±35min BC群210±48min,大動脈遮断時間BR群93±16min BC群106±32minであった.BR群では11例はBretschneider液 1 回の注入で遮断解除まで可能(2 例はII型のためblood C. Pを 1 回追加),BC群では平均3.8回の注入を必要とし,うち2.4回は直接冠動脈内への注入であった.ICU帰室時のCPKおよびCPK-MB値はBR群972±230,95±37,BC群789±412,162±86であった.また帰室後12時間後ではBR群714±248,42±17,BC群698±265,45±65であった.【結語】BR群とBC群では時代的背景が異なり正確な比較は困難であるが,BR群は心筋保護液の注入は 1 回で,冠動脈内に注入することはなく,成績も良好で有効な心筋保護法と考えられた.

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