P-I-F-5
Posterior TGA,PS,LVOTSに対するintraventricular reroutingによるBVR
千葉県こども病院心臓血管外科1),千葉県こども病院循環器科2)
石橋信之1),青木 満1),渡辺 学1),澤田まどか2),池田弘之2),中島弘道2),青墳裕之2),藤原 直1)

Posterior TGA,PS,LVOTSに対し,Infundibular septumにVSDを作成しsubaortic VSDとつなげることによりLV-aorta,RV-PAの血流路を確保,intraventricular reroutingによるbiventricle repairを施行しえた.詳細を提示する.【症例】3 歳男児.他院で新生児期にPAB→de-banding,BAS施行.PH進行し,posterior TGA,VSD,valvular PS,LVOTS,ASDの診断で当院紹介,1 歳 2 カ月時にBVRは困難と判断,Fontan candidateとしてDKS + RMBTS施行.cathe(2y8m):LV + RVEDV = 231%N,LV + RVEF = 52.7%,PAI = 408,Rp = 1.32.echo(2y8m)LVEDV = 124%N,RVEDV = 135%N,mild PR.【方針】mild PR,Fontan遠隔予後を考慮,可能ならBVR.【術式】(1)解剖:VSDはsubaorticに位置し,slit状のmuscular type.痕跡的右室流出路をTSM前方に認めた.Aoは 2/3 以上右室から起始していたが,mitral valveとの間にcontinuityを認めた.肺動脈弁輪は小さく,完全に左心起始で弁下に右室との交通は認めなかった.(2)右室流出路作成:痕跡的右室流出路をmuscle resectionにより拡大し,さらにinfundibular septumに新しくVSDを作成することにより,左室側の肺動脈弁下と交通を作った.作成した右室流出路に沿って右室自由壁を肺動脈弁下まで切開.(3)左室流出路拡大:infundibular septumを切除することにより,作成した肺動脈弁下のVSDをsubaortic VSDまで拡大し,大きなdoubly committed VSDを作成.(4)rerouting:右室切開より 2 枚のpatchを用い,rerouting.(5)右室流出路拡大:DKSをtake downした肺動脈断端は肺動脈と吻合し,右室切開を肺動脈まで拡大した後,自己心膜 + 自己心膜 1 弁により右室流出路を拡大.【経過】第30病日退院.echo:LVEDV = 186%N,LVFAC = 33%,RVp = normal,LVOTS(-),RVOTS(-).【結語】(1)本術式によりASOを選択できないposterior TGAへのBVRが可能であった.(2)Fontanと比較し遠隔期での高いQOLが期待できる.(3)infundibular septumの切除に伴う心室機能不全と,遠隔期の左室および右室流出路狭窄に注意を要する.

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