P-I-F-11
AVSD with TOFの 1 治験例
大垣市民病院胸部外科
玉木修治,横山幸房,横手 淳,六鹿雅登,鈴木登士彦

【はじめに】AVSD with TOFは比較的まれな疾患であり,複雑心奇形に対する手術成績が向上した今日においてもなお克服すべき課題の多い疾患である.今回われわれはAVSD with TOFを経験し良好な結果を得たので報告する.【症例】AVSD with TOF,LSVC,Down syndromeと診断された 5 歳 6 カ月の女児で先行手術の既往はない.術前心カテーテル検査ではPAI = 196,RpI = 1.32,PA valve area = 3.85,LVEDV = 98.5% of normalとpulmonary,LV conditionとも良好であった.【手術】RA-tomyからはanterior bridging leafletの心室側にoutletに向かってVSDが連続することは確認できるがそのupper marginもaortic valveも観察しえず,したがってA-V valve partitionのためのanterior bridging leafletとaortic valve ringの接点も確認できない.RV-tomyしRVOTOを解除してようやくVSDの全容とanterior bridging leafletとaortic valve ringの接点が確認できた.LSVCが存在することからrepairは人字型two patch methodで行いVSDはcomma shaped patchでclosingした.術後経過は良好で1PODに抜管,2PODにICUを退出したがCVPが高い印象であった.術後UCGでMR,TRはtrivial,TS flowは1.43m/sと計測された.心カテーテル検査ではsystolic pressureでmPA/RV/LV/FA = 27/30/102/118とRVOTO,LVOTOおよびPHはなく,mean RApは 9mmHgと計測された.これらよりTSを疑うdataはないもののtricuspid valve areaは72.1% of normalと狭小であった.ちなみにmitral valveのそれは113.5% of normalであった.【考察とまとめ】確実なVSD closureおよびA-V valve partitionのためにはanterior bridging leafletとaortic valve ringの接点の確認が重要でRV側からの観察は重要であった.aortic valveのover-ridingが顕著になるほどA-V valve partition lineはtricuspid valve側に偏位することから,partition lineを直線的に取らず十分なtricuspid valve areaを確保する必要があると考えられた.

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