P-I-G-1
Multislice CTを用いて手術術式,時期の決定に有用であったDORVの 1 例
社会保険中京病院心臓血管外科1),社会保険中京病院小児循環器科2)
櫻井寛久1),秋田利明1),櫻井 一1),加藤紀之1),長谷川広樹1),松島正氣2),西川 浩2),加藤太一2),牛田 肇2)

【はじめに】先天性心疾患の術前診断で心エコー検査,心臓カテーテル検査が施行される.しかし従来の検査では三次元的な位置関係の情報を得ることがしばしば困難である.multislice CT(以下MSCT)は詳細な立体構築像が可能である.今回,16スライス同時撮影できる東芝社製Aquilionを用い肺動脈,PDAを評価し,手術術式,時期の決定に有用であった 1 例を報告する.【症例】3 カ月女児,妊娠36週,帝王切開で出生,出生児体重1,666g,前医でNICCU入院,心エコーでDORV,PA,PDAと診断,PGE1開始,1 カ月で体重増加し当院へ搬送.入院後心カテーテル検査施行,right aberrant subclavian artery認められた.その後MSCT施行,両側肺動脈の合流とPDAの開存を認めた.約 2 カ月,3,188gでrt modified BT shunt施行,PGE1中止,術後SpO2低下,心エコー上,PDAが認めず,PGE1再開しSpO2の上昇がみられた.MSCTを施行すると,術前に比べPDAの狭小化と左右肺動脈の連続性が途絶えそうなため,術後11日目にlt modified BT shuntを追加.術後MSCTにて,左右肺動脈の連続性がPDA付着部で途絶えており左右それぞれの肺動脈が,BT shuntの血流により肺血流が保たれていることが確認された.【結語】これまでの検査では二次元的で限局した投影像しか得ることができず,しばしば大血管位置関係の判断に迷うことがあった.今回MSCTを用いることにより詳細で,立体的にPDA,左右肺動脈の評価を行うことができ,直径 2mm程度の血管の評価を行うことができた.今後MSCTを用い心カテーテル検査の頻度を減らすとともにより正確な大血管の情報を得て手術術式,時期の決定に有用であることが示唆された.

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