P-I-G-4
動脈管接合部肺動脈縮窄を合併した単心室,肺動脈閉鎖症に対し,肺動脈形成と体肺動脈短絡術を同時施行した 2 例
三重大学医学部胸部外科1),三重大学医学部小児科2)
高林 新1),新保秀人1),横山和人1),梶本政樹1),矢田 公1),澤田博文2),三谷義英2),駒田美弘2)

【目的】動脈管接合部肺動脈縮窄(CoPA)を合併した単心室(SV),肺動脈閉鎖症(PA)に対し,体外循環下に肺動脈形成と体肺動脈短絡術を同時施行した 2 例を経験したので報告する.【症例】症例 1:診断はSV,PA,左CoPA,動脈管開存症(PDA),総肺静脈還流異常症(TAPVC)(Ia),右側大動脈弓で,49d.o.,3.2kgで第一期手術を施行した.手術:胸骨正中切開,ECMO回路にリザーバー(50ml)とDUF,MUF用のECUM回路(80ml)を追加した総充填量250mlの回路を使用し体外循環(CPB)下に手術施行,CoPA部は自己心膜で肺動脈形成し,ePTFE 4mmにて左BTシャント術を同時施行した.CPB時間84分であった.症例 2:診断はSV,PA,左CoPA,MA,TR mildで,35d.o.,2.8kgで第一期手術を施行した,手術:胸骨正中切開,同様の回路にてCPB下に手術施行,CoPA部は動脈管組織を可及的に切除,短軸方向に閉鎖して肺動脈形成し,ePTFE 3.5mmにて右BTシャント術を同時施行した.CPB時間45分であった.2 例とも体外循環中にDUF,MUFを施行した.【結果】症例 1,2 とも術翌日抜管,カテコラミン投与期間 2 日,ICU滞在期間 3 日で術後左右肺動脈の連続性は保たれていた.症例 1 の両方向性グレン手術(BDG)術前の平均肺動脈圧(PAPm)は12mmHg,PA indexは144mm2/m2で,5m.o.,4.6kgでBDG,TAPVC根治術を施行した.症例 2 のBDG術前のPAPmは11mmHg,PA indexは270mm2/m2で,6m.o.,5.1kgでBDGとTRの増悪に対し三尖弁形成術を施行した.2 例とも現在Fontan手術待機中である.【結語】(1)CoPA合併SV,PA,PDAに対し体外循環下に肺動脈形成と体肺動脈短絡術を同時施行し良好な結果を得た.(2)DUF,MUFを施行可能な低充填量回路によるCPBは,侵襲を軽減でき低体重例に対する有用な補助手段と考えられた.

閉じる