P-I-G-12
Supravalvular aortic stenosisに対する術式選択に関する一考察
大垣市民病院胸部外科
玉木修治,横山幸房,横手 淳,六鹿雅登,鈴木登士彦

【はじめに】supravalvular aortic stenosis(SVAS)に対する術式は歴史的にdiamond-shaped patch aortoplasty,extended aortoplasty,Brom techniqueそしてmodified extended aortoplastyと変遷してきた.今回われわれはsinus deformityが均一でないSVAS例を経験し,術式に関して考察したので報告する.【症例】9 歳の女児.LBW(2,254g)で当院NICUに収容された.UCGおよび特異な顔貌によりWilliams症候群を伴うSVASと診断され経過観察されていたが,89mmHgの圧較差を認めたため手術となった.術前のaortographyでsinus deformityはrightおよびnoncoronary sinusに著明であり,left sinusのそれは顕著ではなかった.すなわちascending aortaの軸は弁の中央にはなくleft coronary sinus方向に偏位していた.手術は児の成長も考慮してmodified extended aortoplasty(Steinbergら)を予定した.【手術】ascending aortaの切開はinverted Y shapeとし,supravalvular ridgeを越えてrightおよびnoncoronary sinusに切り込んだ.left coronary sinusのdeformityは顕著でなく,fibrous tissueの剥離によりleaflet free edge/parietal sinus wall比が1.3となったので,left coronary sinusに対するplastyの必要はないと判断した.aortic valve ring sizeが18mmと計測されたので18mm PTFE tubeの円周約1/3の位置をrightおよびnoncoronary sinusの切開部に補填すべくpatchとして形成し,aortoplastyを施行した.術後,圧較差は消失した.【考察とまとめ】sinus deformityが均一でないSVAS例ではascending aortaの軸は弁の中央にはなく,軸が偏位した方向にあるsinusのleaflet free edge/parietal sinus wall比は正常に近い可能性が考えられる.こうした症例ではすべてのcoronary sinusに対するplastyの必要はなく,deformityの顕著なsinusのみを形成すべく柔軟に術式を選択すべきである.

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