P-I-G-13
両側弁輪拡大法を用いた大動脈弁置換術
大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科1),大阪大学大学院医学系研究科小児発達医学講座小児科2)
近藤晴彦1),福嶌教偉1),市川 肇1),石坂 透1),盤井成光1),黒飛俊二2),小垣滋豊2),松田 暉1)

近年,小児の大動脈弁閉鎖不全(AR)や狭窄(AS)に対して,積極的な弁形成術が行われ良好な成績が報告されているが,弁の変性,変形の強い例では弁輪拡大を併用した弁置換術(AVR)が必要となることがある.今回,小児のAS術後のAsRに対し両側弁輪拡大法を用いたAVRを行ったので報告する.【症例】7 歳 8 カ月女児,術前診断はAsR.11カ月時の二尖弁性ASに対するballoon形成術後に,Doty手術とOACを 1 歳時に施行.5 歳よりARが進行,7 歳にはAR:4 度,圧較差:30mmHg,弁輪径:14mm.弁形成が不可能な場合,侵襲が比較的少なく,僧帽弁の変形,冠動脈や刺激伝導系の損傷などの危険性も少ない両側弁輪拡大法を用いたAVRを行うこととした.【手術】弁の変性は強く修復不能と判断.弁尖を切除後,逆V字の大動脈切開を 2 方向に弁輪を越えて延長し,左側は心室中隔に切り込む手前,右側は僧帽弁線維輪の手前まで延長すると,弁輪径は19mmまで拡大した.弁輪切開部拡大の補填に 2 枚の滴状のpatchを縫着し,19mmの人工弁を縫着後,patchの頭側を大動脈切開部に縫着.術直後の圧較差は20mmHg,術後経過は良好.【まとめ】小児のAS術後のAsRに対して両側弁輪拡大法を用いたAVRを行い,経過は良好であった.


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