P-I-G-15
Revival―Norwoodからmodified Van Praaghへ―
あいち小児保健医療総合センター心臓血管外科1),あいち小児保健医療総合センター循環器科2)
岩瀬仁一1),前田正信1),佐々木滋1),水野明宏1),安田東始哲2),福見大地2),小島奈美子2),長嶋正實2)

【背景】左心低形成症候群に対するNorwood手術の成績は周術期管理の進歩,術式の工夫で改善があるもののいまだmortalityは高く,さらに次期手術までのmortality,morbidityが報告されている.われわれは完全なる救命とさらなる成績向上を目指し全く新しい治療戦略を計画,現在まで 2 例に行い良好な経過をたどっているため報告する.【対象】症例 1:Scimitar症候群,左心低形成,右肺低形成,左横隔膜ヘルニアで日齢 1,当院へ搬送.カテコラミン,PGE1投与と低酸素人工呼吸管理で全身状態の改善を待ち,3D-CTで大血管形態を把握した後,日齢20(体重2.6kg)で胸骨正中切開により両側肺動脈banding,同時に左肋骨弓下切開により横隔膜ヘルニア根治術を行った.PGE1投与を継続し日齢39左開胸で肺動脈幹より下行大動脈まで 6mm EPTFEグラフトによるバイパス術を実施した.PGE1投与を中止しUCG,3D-CTでグラフトの開存を確認し第14病日人工呼吸器離脱となった.症例 2:左心低形成,unbalanced atrioventricular canal,severe TR.日齢 2,挿管で当院搬送,カテコラミン,PGE1投与と低酸素人工呼吸管理.3D-CTで大血管形態を把握し日齢 3(体重2.6kg)に胸骨正中切開で両側肺動脈bandingを行った.術後TRは著明に減少,PGE1投与継続で日齢27(体重2.9kg)左開胸で肺動脈幹より下行大動脈まで 6mm EPTFEグラフトでバイパス術を行った.術後PGE1投与中止し第 3 病日人工呼吸器より離脱した.【結果】両症例とも術後 1 カ月以上の経過でチアノーゼの増悪なくグラフトも良好に開存.生後 5~6 カ月での大動脈弓再建,BDG手術を考慮中.【考察】左心低形成症候群に対する 1 期;両側肺動脈banding,2 期;左開胸によるmodified Van Praagh手術は低侵襲で新生児期を良好な状態で経過できるため 3 期手術の大動脈弓再建,BDG手術に安定した成績が期待でき本疾患に対する新たな治療戦略になりうると確信する.

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