P-I-G-18
腹部疾患を合併したNorwood手術施行症例の検討
静岡県立こども病院心臓血管外科
関根裕司,坂本喜三郎,西岡雅彦,藤本欣史,太田教隆,村田眞哉,中田朋宏,横田通夫

【目的】1998年 4 月から2003年12月までに当科にてNorwood手術を施行した30症例のうち初回手術周術期に腹部疾患を合併した 3 症例につき検討.【症例】症例 1:IAA(B),vAS,MVSDs,SA,AORSCA,染色体異常,BW 3.0kg.鎖肛に対し生後 2 日目に人工肛門造設術,その 4 日後にNorwood + RVPA(5)施行.POD 5 に閉胸後,POD 21に抜管,POD 70に退院.症例 2:ECD,CoA,hypo arch,dyspalstic MV,BW 2.5kg.生直後よりMASに対し挿管・呼吸管理を要し,生後14日目に腸穿孔に対し緊急開腹術,その10日後にNorwood + RVPA(5)施行.POD10に閉胸後,POD 32に抜管,POD 70に退院.症例 3:HLHS,BW 3.4kg.Norwood + RVPA(6)施行.POD 5 に閉胸後,術前からのMASによる肺状態悪化・PH crisis,conduitの圧迫により,shock状態となりPOD 7 に緊急再開胸.その後も肺の状態悪くPOD 23に閉胸可能.POD 30に胎便栓症候群による腸穿孔を認め,緊急開腹術施行.POD 110にMRSA前縦隔洞炎と診断され,POD 120に敗血症にて死亡.【結果】症例 1~3 で在胎週数・出生時体重・Apgar scoreにおける(腸穿孔のrisk factor)は症例 2 の低体重(BW 2.5kg)のみ.Norwood耐術症例全体では術後dBPは30後半~40mmHgを維持し,術後平均4.3日で排便を認め,7.6日より経腸栄養を開始.本 3 症例でも症例 3 で一時的にshock状態を認めた以外はdBP 30mmHg後半を維持し,[術後排便;経腸栄養開始]とすると症例 1[3d;7d],症例 2[1d;14d],症例 3[13d;13d].【考察】術前合併例(症例 1,2):血行動態・拡張期血圧が安定するRV-PAを選択することで安定した腸管血流を維持し,腹部先行手術を要した症例でも救命可能.全身状態・感染所見を考慮に入れた手術時期の決定,感染予防も重要.術後合併例(症例 3):本症例では術前MASによる肺状態の不安定さがshock状態→腸管虚血に大きく影響した可能性が高く,RV-PAの選択により経過中心機能そのものは維持されていたことより,術後腸管虚血のrisk軽減に有用.

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