P-I-G-20
Saphenous vein homograftをRV-PA conduitに用いたNorwood手術
東京大学医学部心臓外科
高岡哲弘,村上 新,竹内 功,齋藤 綾,前田克英,本村 昇,高本眞一

Saphenous vein homograft(以下SVH)をNorwood手術におけるRV-PA conduitに用いたHLHSの症例を動画を中心に供覧する.【症例】日齢10,体重2.6kg.診断はHLHS(AA/MS),PFO,PDA,TR.【手術】胸骨正中切開で心膜を採取し,2%グルタルアルデヒド処理(2 分)を行った.これに 5mmの穴をあけSVH(5mm)とあらかじめ吻合した.無名動脈に吻合した3.5mmのPTFEと下行大動脈(des.Ao)の 2 本送血,SVC,IVC 2 本脱血でCPBを確立,30度へ冷却.PDAを結紮,isolated myocardial and cerebral perfusion下にPDA組織を切除し,distal archとdes.Aoを吻合.MPAを分岐部中枢側で切離しその下面にSVH付き心膜を縫合.冠還流を止めcardioplegiaで心停止後,上行大動脈(asc.Ao)を 1cm切り込みMPAとarch,des.Aoの再建を完成させた.RAを切開しASDを作製,次いで 1cmの切開をRVにおきSVHを吻合,RAは閉鎖した.CPBからの離脱は順調であった.CPB時間209分,大動脈遮断時間35分,手術時間 6 時間55分であった.胸骨は 2 期的閉鎖とし,第 3 病日に閉胸,第 9 病日に抜管,3 カ月後にBCPS施行した.【考案】SVHをRV-PA conduitとすることでPRはほとんどなく,心負荷を軽減できたと考えられるが,2 カ月でSVHの径が2.7mm(直後は4.8mm)に狭窄したので,厳重な観察が必要と思われた.

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