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B-II-17 |
Norwood術後における腕頭動脈起始部の狭窄 |
国立療養所香川小児病院小児科1),国立療養所香川小児病院心臓血管外科2)
太田 明1),寺田一也1),江川善康2),川人智久2),吉田 誉2) |
【目的】Norwood術後の合併症は高肺血流による心不全,冠血流不足による心筋虚血,大動脈縮窄などがよくみられるが,腕頭動脈起始部の狭窄についての報告は少ない.今回,われわれは同部位に狭窄を来し,肺血流量減少からチアノーゼを生じた 3 例を経験した.その原因を明らかにする目的で今回の検討をした.【方法】対象はHLHS 6 例を含む 7 例である.7±4.7日にNorwood術を実施した.すなわち,新大動脈再建術と新肺動脈再建術,および腕頭動脈よりPTFEで右肺動脈への短絡術からなる.新大動脈再建は自己組織のみで下行大動脈との直接吻合を 3 例,人工血管を補填して吻合した 1 例,異種心膜と自己心膜の両方で補填して吻合した 3 例であった.術後,3 例に腕頭動脈起始部に狭窄を認めた.狭窄は 2 例にバルーン拡張術を行った.1 例は対側にBTシャントを追加した.3 例とも,hemi-Fontan術に到達した.狭窄群 3 例と非狭窄群 4 例を次の項目で比較した.心奇形の種類,上行大動脈径(ASA),腕頭動脈径(INA),INA/ASA比,BTシャント径などについて調査した.【成績】(1)狭窄群はAA,MAが 1 例,AS,MSが 1 例,TA,SAS,CoAが 1 例で,非狭窄群はAA,MAが 2 例とAS,MSが 2 例であった.両群で心疾患の種類に差を認めなかった.(2)両群で在胎,出生体重,手術日齢,ASA径,INA径,ASA/INA比,BTシャント径は有意差を認めなかった.(3)狭窄群 3 例のうち 2 例が自己組織のみで新大動脈の再建術が実施されたのに対し,非狭窄群では 1 例を除き異種心膜と自己心膜で補填されて再建されていた.【結論】自己組織のみで下行大動脈と直接吻合による再建は上行大動脈,特に腕頭動脈に緊張がかかり,腕頭動脈起始部に狭窄を生じる可能性があると思われた. |
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