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B-II-19 |
ファロー四徴症術後上室性頻拍の不整脈基質―CARTOを用いた検討― |
岩手医科大学附属循環器医療センター内科1),岩手医科大学附属循環器医療センター小児科2),オクラホマ大学3)
籏 義仁1),小山耕太郎2),堀田一彦1),高橋 信2),千田勝一2),平盛勝彦1),中川 博3) |
【背景】ファロー四徴症(TOF)に対する心内修復術(ICR)として,現在は右房切開を必ず行うが,かつて単純超低体温下に右房切開なしで右室流出路形成術を受けた症例が存在する.TOFのICR後に発症する上室性頻拍の不整脈基質と右房切開との関係をelectro-anatomical mapping(CARTO)を用いて評価した.【対象】TOFのICR後に不整脈があり,当施設でCARTOを用いてマッピングを行った 7 例.年齢は16~54(36.4±12.9)歳で,手術後14~42(29.5±10.7)年経過していた.【方法】冠静脈洞遠位からの心房ペーシング中に得られた右房のvoltage mapを検討した.【結果】体表心電図で,2 例には心房頻拍が,そのうち 1 例には心房粗動も確認されていた.検査以前に心電図で心房頻拍が確認されていた 2 例を含む 4 例に心房頻拍が誘発され,そのうち 2 例には三尖弁周囲を回路とする心房粗動も誘発された.その 4 例には,経三尖弁心室中隔欠損閉鎖,三尖弁輪形成,心房中隔欠損閉鎖目的の右房切開が加えられていたことを手術記録で確認した.4 例の右房voltage mapには周囲にdoubleまたはfractionated potentialを伴った電位のない瘢痕を含んだ低電位(< 0.1mV)領域(LBVA-DFPs)が右心房の後側壁に観察され,チャネルを形成していた.上室性頻拍の誘発されなかった 3 例には手術記録上で右房切開の記録はなく,voltage mapの上でもLBVA-DFPsやチャネルは認められなかった.【結語】手術操作のため右房に心筋障害部位が形成された症例には,心房粗動を含む心房頻拍が誘発された.一方,右房に手術操作が加えられなかった症例には,心房粗動を含む心房頻拍が誘発されなかった.心筋障害部位の同定と根治術にはCARTOが有用であった.CARTOによるvoltage mapにより心房への手術侵襲が推測できる. |
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