KII-B-3
Rastelli術後導管狭窄に対する再右室流出路再建術の検討
福岡市立こども病院心臓血管外科1),福岡市立こども病院循環器科2),福岡市立こども病院新生児循環器科3)
深江宏治1),角 秀秋1),塩川祐一1),中島淳博1),帯刀英樹1),南  和1),宮崎隆子1),前田武俊1),總崎直樹3),石川司朗2)

【目的】Rastelli型手術後の導管狭窄に対する右室流出路再建術に検討を加えた.【対象と方法】当院において弁付き人工血管を用いて行ったRastelli手術173例中,導管狭窄に対して再手術を施行した74例を対象とした.原疾患はファロー四徴症28例,大血管転位症13例,両大血管右室起始症13例,総動脈幹症12例,修正大血管転位症 5 例,肺動脈弁欠損症 3 例であった.再手術時の平均年齢は11.7歳,Rastelli手術より再手術までの平均期間は6.9年であった.術前の右室収縮期圧は平均84±21mmHg,右室肺動脈間圧較差は平均56±21mmHgであった.再手術時における右室流出路の再建法は,e-PTFE人工血管置換術が46例,Danielson法が16例,生体弁付き人工血管による導管置換術が12例であった.これらの症例において手術成績,中期遠隔成績に検討を加えた.【結果】病院死亡は 3 例(術中心筋梗塞 2 例,敗血症 1 例),遠隔死亡は 1 例(心不全)であった.累積生存率は 5 年96%,10年92%であった.術後約 2 カ月時の心臓カテーテル検査において右室収縮期圧は46±15mmHg,右室肺動脈間圧較差は14±11mmHgと有意に低下していた.再々手術はDanielson法 7 例,生体弁付き人工血管置換法 1 例に行った.Danielson法では胸壁の圧迫による流出路狭窄が原因であり,またパッチの素材は 7 例すべて異種心膜であった.再々手術時にはe-PTFEパッチによる再置換を行った.再々手術回避率は 5 年91%,10年60%であった.術後約 5 年の遠隔期での心エコー検査での右室流出路の流速は平均207±56cm/sec,三尖弁逆流は中等度を 1 例に認めたのみであった.また運動負荷による最大酸素消費量は平均84±17%-Nとおおむね良好であった.【結語】(1)Rastelli術後導管狭窄に対する再右室流出路再建術の成績は満足すべきものであった.(2)Danielson法は胸壁の圧迫による流出路狭窄による再々手術率が高く,また流出路パッチの素材としては異種心膜の成績が不良であった.

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